《リクエスト》胸の内の想いを咲かせて-1-【ディルック&ガイア】 ページ39
フラッドside
僕は醜い魔物だ。本来であれば、出会う事のない世界の住人だった。
目覚めた時から疎まれ、命を狙われ、居場所など無かった。
周りに居た命を踏み台にして生きていた。自分だけ助かって、愛する人が死んでいく様を見るのが辛かった。
そんな僕に、君達は手を差し伸べてくれたね。
『嬉しかった。僕を見てくれて、本性を知ってもなお、傍に居てくれた』
赤い炎も、青い氷も、僕の深く淀んだ水を清らかな水へと変えてくれたんだ。
「全く困ったもんだ、休めと進言しても休みやしない。少しは肩の力を抜くべきだってのにな」
「君は些か抜きすぎな気もするが?それと、そろそろ閉店時間だ。その一杯を飲み終えたら帰るように」
「っはは、これは手厳しいな、旦那」
軽い声、ちょっと嫌そうな声、グラスを拭く音、氷がぶつかって溶ける音。
暖かな照明の中、エンジェルズシェアのカウンターで向かい合う二人はいつものように話している。そんな二人を見るのが、僕の好きな時間だったりするんだ。
『(…二人には世話になりっぱなしだ)』
僕を助けてくれて、気にかけてくれて、そして…信じてくれた。このモンドに居られるのは、二人のおかげと言っても過言ではないだろう。
二人の間にある溝は中々埋まりはしない。僕の知らない溝は大きくて深い。それでもその溝すら飛び越えて話せるように。
『二人共』
僕が君達の手を取って、二人の橋となって繋ぎ止めたい。だって僕は二人が好きだから。
「ん?どうしたフラッド」
深い星空のような青い瞳。
「…?何か用かな?」
真っに燃え上がる炎の髪。
僕の、大好きな色。
『二人に渡したいものがあるんだ』
僕がそう言うと、二人は顔を見合わせて不思議そうに僕を見つめ返してくる。そんな二人の前に、僕は持っていたそれを差し出した。
後ろ手に持った二つの花束は、イグサとドドリアン、そしてセシリアの花が小さな束になって咲いていた。
「これは……?」
『その、二人にはいつもお世話になっているし……日頃の気持ちを込めて、ね』
ガイアと、ディルックと、僕。モンドに咲く花を僕達に見立てて見繕ってもらったんだ。
『いつもありがとう、二人共』
モンドの皆以上に、僕は君達の事が好きだよ。
「ほぅ……。素敵な花束だ。ありがとなフラッド」
「…君の気持ちが籠もった花達だ。嬉しいよ」
微笑む二人の笑顔はとても優しくて、あぁ、良かった。
これからもその笑顔を守り続けよう。ずっと、ずっとね。
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orchid〜オーキッド〜 - 最高です!かなり無茶なリクエストしたのにも関わらずクオリティ高いものを用意して頂いてありがとうございます!これからの活動もすっごく楽しみにしています! (12月11日 13時) (レス) id: 47c56abe73 (このIDを非表示/違反報告)
もにもち - ヤァバァイもう天才ですかあなたは!!天才ですね!!めっちゃうるっと来ましたよ〜!泣 はぁ!今日も頑張れそうです!更新ありがとうございます!これからも頑張ってください!!ずっと応援してます!あ、体調には気をつけて。 (12月11日 6時) (レス) @page44 id: 4864a15202 (このIDを非表示/違反報告)
orchid〜オーキッド〜 - 九龍さん» ありがとうございます!もし何か分からないことあったら教えてください! (12月10日 21時) (レス) id: 47c56abe73 (このIDを非表示/違反報告)
雷デット - ありがとうございます!! (12月10日 19時) (レス) id: d5e1296c27 (このIDを非表示/違反報告)
九龍(プロフ) - 雷デットさん» リクエストありがとうございます!書かせて頂きます〜! (12月10日 17時) (レス) id: c0b6840b43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2023年12月3日 22時