《リクエスト》誰のものか理解しているのか?-2-【鍾離】 ページ4
劉斗side
『最近はどうだ、魈』
「……!劉斗様!」
望舒旅館の最上階。月夜の映える空が広がる外へと出れば、魈が此方を振り返り驚きで目を丸くした。
此処に来たのは人々の作る食事を楽しみに来ただけだったのだが…懐かしい気配がして来てみれば、お前が居たとはな。
『調子はどうだ。しっかりと休めているか?』
「はっ、以前よりかは…。無理をすると旅人が怒りますので…」
『っはは、奴め。夜叉の身すら案じるとは良い身分になったものだ』
しかしお前がそこまで気を許すとは…俺としても嬉しい事だ。
業障は消えずとも、共に苦しみを分かち合う者が居ると言うのは実に気が楽になる。俺にとっての鍾離のように、お前も少しは気が休まれば良いのだがな。
「劉斗様は何故此方に…?」
『今世の人間共の食事を味わいにな。昔と違って資源が豊富になった分、多くの彩りを持つ料理が増えたものだと思い、各地を転々としながら食を楽しんでいる所だ』
「左様でしたか…。相変わらず肉はお好きなのですか?」
『無論だ。海産物は…まぁある程度食べれるようになったな』
たわいない会話をしていく内に時間は過ぎていく。涼やかな風を感じながら語らっていれば、ふと魈が視線を背後に移した。
『どうした?』
「ん゛んっ…、……その、背後に…」
『背後?』
「劉斗」
ふわりと後ろから抱き締められる。茶色のコートの袖に黒の手袋、そしてこの岩の気配…。
『鍾離』
「探したぞ。今宵は此方に宿を取っていたのか」
『あぁ』
わざわざ往生堂から此処まで来たのだろうか?
肩に頭を押し付けてくる鍾離を撫でていれば、ふと見えた彼の瞳と視線が交差した。
『…魈、すまないが俺はこの辺りで失礼する。鍾離が甘えたいようなのでな』
「いえ…!お時間を割いて頂き感謝致します…っ」
『そう畏まるな。またこうして話し相手になってくれ』
「はっ」
頭を下げる彼に手を振りその場を立ち去る。鍾離の手を引きながら宿となる部屋へと入り、椅子に座って膝上に鍾離を座らせた。
『どうした友よ。また俺の視野を覗き見たか』
「……」
…?どうした、目を逸らすなどお前らしくない。
『何かあったのか…?』
そっと頬を撫でると、鍾離は少しだけ困ったように眉根を下げ、俺の手に擦り寄った。
「…お前が、俺を置いて…他の場所に行って他者と話すのが、その…嫌、だった……」
……………は……。
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orchid〜オーキッド〜 - 最高です!かなり無茶なリクエストしたのにも関わらずクオリティ高いものを用意して頂いてありがとうございます!これからの活動もすっごく楽しみにしています! (12月11日 13時) (レス) id: 47c56abe73 (このIDを非表示/違反報告)
もにもち - ヤァバァイもう天才ですかあなたは!!天才ですね!!めっちゃうるっと来ましたよ〜!泣 はぁ!今日も頑張れそうです!更新ありがとうございます!これからも頑張ってください!!ずっと応援してます!あ、体調には気をつけて。 (12月11日 6時) (レス) @page44 id: 4864a15202 (このIDを非表示/違反報告)
orchid〜オーキッド〜 - 九龍さん» ありがとうございます!もし何か分からないことあったら教えてください! (12月10日 21時) (レス) id: 47c56abe73 (このIDを非表示/違反報告)
雷デット - ありがとうございます!! (12月10日 19時) (レス) id: d5e1296c27 (このIDを非表示/違反報告)
九龍(プロフ) - 雷デットさん» リクエストありがとうございます!書かせて頂きます〜! (12月10日 17時) (レス) id: c0b6840b43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2023年12月3日 22時