壱：突然の招集 ページ2
虎杖side
「先生〜、任務って何すんの？」
まだまだ春みたいに暖かい日が続く中、人の多い駅前で俺達一年は全員、五条先生に呼び出されていた。
今は朝の9時半。突然叩き起こされたからさ、まだちょっと眠いんだよな。そんな寝惚けた頭も、ガヤガヤした人の声とか街の音とか聞いてるとシャキっとしそうだけど。
「ん〜？いやぁ、ちょーっと面倒な案件が回ってきてね。急遽三人にやってもらう事にしたんだ」
「やってもらう事にしたって事は、元々は五条先生が担当する筈だった任務って事ですか」
「正解〜！流石恵、理解が早いね！」
「何よそれ、つまりはアンタのおこぼれを私らでやれって話？」
うわ、釘崎が一気に嫌そうな顔になった。伏黒もちょっと眉間に皺寄ってるし……。
「そう嫌そうな顔しないでさ。三人ならちゃちゃっとやって終わるから我慢してよ」
五条先生はそう言って、さっきからピコピコ弄ってた携帯を仕舞った。
「で？何すりゃいいのよ。私、暇じゃないんだけど」
「あれ？でも釘崎昨日"最近任務が無くて退屈"って……痛っ！？ちょ、ごめんって！」
足踏まれた！思いっきり足踏まれた！そんなに怒んなくても良いじゃん！？
「はいはいそこ！喧嘩しないで！時間も勿体無いし、早速今日の任務の説明をするよ」
パンッと先生が手を叩くと一気に空気が引き締まる。
俺達が黙って先生に向き直ると、今回の任務の説明が始まった。
「今回の任務は"呪物の回収"だ。三人に回収してもらうのは、特級に分類される"箱"だよ」
「箱？」
「そう、箱。お正月の御節とか入れるような、漆塗りの重箱みたいな豪華な箱ね？その箱がこの駅付近の何処かにあるらしくてさ」
「何処かって……。具体的な場所は把握出来てないんですか？」
伏黒が怪訝そうに顔を顰めて先生に尋ねると、先生は「うん」って頷いた。
「それがさぁ…その箱自体に何かしらの呪いが込められているらしくてね。呪力があまりにも小さくて感知出来ないんだ。あるか無いか分からない程度の呪力に残穢も無し。だからもう手当たり次第に探すしか無いってワケ」
「要するに虱潰しに探せって事ね……」
「そういう事！三人も居れば探すのも多少楽でしょ？」
か、軽く言うんだから〜…！……あ、そう言えば…。
「先生！」
「はい悠仁！」
「その箱ってさ、どんな呪物なん？」
そう訊くと、先生は待ってましたとばかりにニヤリと笑った。
「よくぞ聞いてくれました。じゃ、その箱の説明をしよっか」
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作者名：九龍 -くーろん- | 作成日時：2021年1月12日 16時
