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「…聞いて、気持ちのいい話じゃないから。雅紀のこと、嫌な気持ちにさせちゃうかも。」
雅紀の真剣な目に、小さく答える。
…迷っていた。
言ってしまいたい気持ちもある。
だけど。
やっと動き始めたばかりの俺の心は、どうしたらいいのか分からない。
雅「和はさ、俺の話きいてくれたじゃん。」
にかっと笑う雅紀。
俺は、自分よりも背の高い雅紀を見上げた。
「雅紀、俺…。…話、聞いてもらっても、いい、かな。」
雅「うん。俺、…和のこと、もっと知りたい。」
あまりにも雅紀が曇りなく笑うから、俺もつられて笑顔になる。
「…俺、さ。…家、出たくて、ここに来たんだ。」
ひとつひとつ選びながら、俺はゆっくりと言葉を紡ぎ始めた。
雅紀は、時々頷きながら、黙って聞いてくれている。
全部を受け入れてくれる空気に安心できた。
だから。
俺は、心の奥深くでずっと凍らせ続けてきたものを、全部吐き出すことができた。
雅「…ありがと。話してくれて。」
言い終えた俺の肩に、雅紀の腕が回る。
俺は、話しながら、いつの間にか震えていたみたいだった。
知らず知らずのうちに、あの時のこと、あの時の感覚が、俺の中に蘇ったのかもしれない。
だけど、言ってしまったことへの後悔はなかった。
小さく震える俺の腕をゆっくりと雅紀がさすってくれる。
「…ありがと。聞いてくれて。」
それが何だかすごく心地よくて、安心した俺はその腕に体を預けた。
たぶん、みんな同じなんだ。
今朝の俺も、今の雅紀も。
誰かが俺の荷物をもってくれるのなら、俺も誰かの荷物を持てばいい。
上手く言えないけど、これがきっと、支え合う、ってことなんだと思う。
重い荷物を分け合って、それで誰かの心が軽くなるのなら、それは嬉しいことだ。
そんなこと、初めて考えた。
「…んふふ。」
俺は、いつの間にか雅紀の腕の中で笑ってた。
開けっ放しの窓からは、蝉の鳴き声が聞こえる。
口の中には、さっき食べたソーダアイスの味がほんのりと残っていた。
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のん(プロフ) - もうこちらで創作活動はされていないのでしょうか…。柚季さんの書かれる文章が好きです。また更新されることを待ってます。 (2017年9月17日 13時) (
レス) id: f20ec4530a (このIDを非表示/違反報告)
ゆっきー(プロフ) - いつまでも、更新楽しみにして待っていますヽ(*´∀｀)ノ (2015年5月20日 6時) (レス) id: 009dcfbf80 (このIDを非表示/違反報告)
姫hii雛hina(プロフ) - いつまでも更新お待ちしております(*´∇｀*) (2015年3月12日 19時) (レス) id: 8cf9fd0442 (このIDを非表示/違反報告)
嵐K(プロフ) - 面白くて、楽しく見せてもらいました！更新楽しみにしてますね (2014年10月31日 16時) (レス) id: a44f93918f (このIDを非表示/違反報告)
ちーず - いい話です…ほんと。更新待ってます！ (2014年6月21日 0時) (レス) id: 409f186269 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柚季 | 作成日時：2013年7月31日 2時
