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Aside
目を覚ますと茜色の空を
群青が支配していく時間だった。
そして辺りはコンクリートの壁が聳えていて
その隙間から覗く少しの茜色だけが灯りだ。
「あ、れ……私……」
確かみんなと焼肉に行って、
「ッは…みんな、みんなは!?」
焦りが胸を支配していく。
ぐるりと見回しても、誰一人として姿は見えない。
あるのは路地裏の壁の群れ。
私はどうしてこんなところにいるんだろう。
車の荷物容れに容れていた
大学に行くときのリュックサックも見当たらない。
アレにはお金とか提出するためのレポートとか
大事なものが沢山入っていたのに。
ポケットに手を突っ込むとケータイが確認された。
一息ついて時間を確認しようと電源を入れると
「表示、されない…?」
ホームに飛んでもアプリもなにも入っていない。
電話もかけられなければ、チャットでメッセージを送って安否を知ることすら出来ない。
抑どうしてこんなところに来たのだろう。
私たちは確か交差点に居たはず。
仕方なく立ち上がり、冷静に状況を確かめる。
先ずはリュックを探そう。
私は路地裏の出口であろう光の指す方へ歩き出す。
外に出ると、そこには
見たことのない街並みが広がっていた。
とりあえず交番に寄る。
リュックはあるだろうか。
「あの、すいません。」
「はい、なんでしょう?」
「落とし物をしてしまって……
藍色のリュックなんですけど…」
「落とし物ね、
大きさとか絵とかこの紙に詳細書いてね。」
「わかりました。」
絵は苦手なんだけどな。
お巡りさんにお礼を言って自分でも探してみる。
忘れてきた場所とか落としてきた場所が分かれば
すぐに探し始められるのにな。
フラフラと宛もなく歩いていたらいつの間にか
真っ暗になってしまっていた。
宿泊する場所もなければ、財布も手元にない。
ケータイも使い物にならない。
なによりも、みんなが心配だ。
街灯の灯りを頼りに歩いていると、
港の上に架かった橋の上に辿り着いた。
ふと下を見ると倉庫のようなものが立ち並んで
すぐ横は海だ。
そのアスファルトの上に
「あった!!」
暗くて分かりにくいけど私のリュックが転がっていた。
私は階段を探すのが面倒なので、
橋の柵を飛び越えて5mほど下の地面に飛び降りる。
これでも運動神経はいい方だから
衝撃はそれほど来ず、
安全に地面に降り立つことができた。
リュックの中身が全てあることを確認して
ホッと一息ついたその時
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空き地@ktnk - 初コメ失礼します。とても面白いです!更新されることを待っています!頑張ってください! (2020年9月24日 7時) (レス) id: da313b2c7d (このIDを非表示/違反報告)
リンレイ - 凄く面白いですね!更新楽しみにしてます! (2019年10月21日 7時) (レス) id: 551bea7f08 (このIDを非表示/違反報告)
光希(プロフ) - めっちゃ面白かったです。更新復帰楽しみにしてます。 (2018年1月28日 16時) (レス) id: cfe2cc8d41 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2017年8月13日 3時