生きていた家族【中原中也】

25話 ページ27

中也side

Aを呼び、場所を変えた。

緊張が走る。俺は、小さく深呼吸をして口を開く。

「悪ぃな、こんな時に呼び出して、でも如何しても伝えておきたい事があるだ。」

Aは鈍い方ではないだろうだから大方俺が何を云うかも気づいているかもしれない。心做しかAの表情も固い。

「俺はAが、好きだ。兄妹としてではなく。Aを愛してる。結婚てモンは出来ねぇが、んなモン関係ねぇ。もし、俺と付き合ってくれるなら此の薔薇を受け取って欲しい」

Aの顔を見ると頬には涙がつたっていた。

「ぁ、やっ…違うの此れは…っ」

「悪ぃ泣かせるつもりは無かったんだ。」

「…も……っ 」

「？」
Aが何か云ったがよく聞き取れなかった。

「私も、お兄ちゃんが好きっ！兄妹としてではなくっ」

俺は思わずAを抱きしめていた。

俺は出すつもりのなかった、指輪をそっとポケットから出し、Aの薬指にはめた。

「俺がお前の夫だ。お兄ちゃんじゃねぇ。だから俺のことは中也って呼べよな」

「なんか… 照れくさいね…」

Aは頬を赤くしていた。

「中也 愛してる」

「!! 嗚呼、俺もAを愛してるぞ」


Fin

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