痣 ページ15
「八左ヱ門、お前は何も見なかった。いいな？」
「いや何で」
「きっと寝ぼけて雪の結晶が人に見えたんだ」
「だから何で」
先程すれ違った人物が天女と(6年生から)言われているとは言いたくない。
ダメ元で八左ヱ門に気のせいだと言ってみたがやはり無理があった。
あと今は初夏なので、氷点下の気温で生じる雪の結晶が出ることはない。
「あんな目立つ赤髪と蒼眼は気のせいなんかじゃないだろ」
(何であの人赤髪青目なんだよ！！)
三郎の心の叫びは誰にも聞こえない。
仮に聞こえたとしてもAと利吉と唯あたりがぶん殴っただろうが。
「三郎はその人のこと知ってるの？」
雷蔵が鋭いことを聞いてきた。
即答で知らないと言わないあたり、心当たりがあるのは明らかだろう。
八左ヱ門はまさか、と声を上げた。
「あの人が新しい天に
「それはない」
八左ヱ門の言葉を途中で遮ったのは三郎だ。
Aが天女？冗談じゃない。
彼女は自分達と同じ心を持った人間だ、と。
「…唯さんの団子屋でバイトしてたのを見たことがあるんだ」
「ああなるほど」
嘘は言っていない。
だが、長年誰よりも一緒にいる雷蔵にはバレているだろう。
それでも言わないのは、彼の優しさだ。
「…心配せずとも、いずれちゃんと話すさ」
「…分かった。でもちょっと確認させて」
そう言うと雷蔵は、三郎の前髪を少しだけ上に上げて額を見た。
「痣は無い…天女の妖術にはかかってないみたいだ」
「だから心配いらないって言っただろ」
天女の妖術にかかっている者の判別が出来る方法はないわけではない。
一つはみこさんか唯に診てもらうこと。
もう一つは、額に痣があるか否かだ。
もし額に痣があれば、それは天女の妖術にかかっていることを意味している。
雷蔵が三郎の前髪を上げたのは、痣があるかの確認だった。
確認とはいえ前髪を上げられることに多少の抵抗があるのは雷蔵も知っているので、確認したらすぐに手を退けた。
「私は絶対に妖術にかかったりしない。だって……」
「「だって？」」
「唯さんに除霊(物理)されたくないし、みこさんからの“除霊〜天女様特別コース〜”もやられたくない」
「やめろ折角忘れかけてたのに！！」
「ああああああああ」
以前天女の妖術にかかったことのある雷蔵と八左ヱ門は、あの時の悪夢を思い出した。
現場を見ていた三郎は、何があろうとも妖術にかからないと心に強く決めたのだ。
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HANON(プロフ) - 不透明どろっぷ。さん» ありがとうございます。更新はめちゃくちゃ不定期なので、ふと思い出した時に見ていただけたら嬉しいです。 (2月8日 23時) (
レス) id: 42f4c6aba7 (このIDを非表示/違反報告)
不透明どろっぷ。(プロフ) - 3年ぶりくらいに見てみたら結構進んでた…！今見返してみたからこそわかるネタとかも結構あって面白かったです。続き楽しみにしてます。 (12月22日 23時) (レス) @page25 id: f6e73ed9d2 (このIDを非表示/違反報告)
HANON(プロフ) - あまねさん» 見つけてくれてありがとうございます (11月5日 12時) (レス) @page24 id: 42f4c6aba7 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - すきやっと見つけた (10月25日 20時) (レス) @page24 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
HANON(プロフ) - 凪疾さん» 頑張ります！コメントありがとうございました。 (10月22日 23時) (レス) id: 42f4c6aba7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：HANON | 作成日時：2019年9月26日 23時
