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抱いて ページ3

尾崎幹部こと姐さんの付き人である俺と、簡単に言えばマフィアの中でも特に屈強で残忍な人達が集まった武闘軍団『黒蜥蜴』の頭目である芥川は、同じポートマフィアに属すとはいえ普段は関わりが薄い。

この間芥川を先輩と呼び慕う樋口さんと話す機会があり、何かの流れで「芥川……さんって割とボディタッチ激しいタイプですよね」と言ったら鬼のような形相で「嘘をつくならもっとマシなものにしましょうね」と返された。姐さん然り樋口さん然り美人が凄むと怖い。

俺が認識している芥川と皆が認識している芥川はどうやら違うらしい、と知ったのはその時だ。聞けば聞くほどポートマフィアの芥川像が残忍な人物すぎて、俺はそんな人を私生活で呼び捨てにしてたのか……と震えた。俺の知る芥川はちょっと天然で無表情気味なお兄さんだ。


「抱いて欲しい」

「はい」


ぎゅっと芥川を抱きしめる。やっぱり怖い人を演じるのはストレスが溜まるのだろう、抱擁にはストレスを減らす効果があるらしいしな。

それでも芥川はちょっと不満げだったので頭も追加で撫でた。「……此れも好いな」と芥川は俺の背中に手を回す。緩んだ雰囲気で何となく笑ったんだろうなと感じた。



□□□



「そなたはそれが友人に対する態度だと思うのか?」

「違うんですか……?」


尾崎紅葉は不安そうに聞き返す部下にため息をついた。あの男と仲が良い事は話を聞く限りで知っていたが、まさかあの芥川が彼に恋慕にも似た感情を抱えているとは。それに気づかぬ部下も芥川の要求をを可笑しいとは思いつつそれを確証するには至れていない。

どうしてこう育ってしまったのか、紅葉の中で答えはすぐに出た。幼い頃から可愛がりすぎて常に自分の目の届くところに置き、友人を作る機会を与えなかった事が主な原因だ。紅葉はただこの儚い見た目の美少年を誰にも汚されたくなかっただけである。


よよ、と袖で口元を隠し泣き真似をしてみせる。


「いずれAも私を置いて出て行ってしまうのじゃな……鏡花のように………」

「えっ!? 僕、姐さんが許す限りずっとお傍にいますよ。そもそも孤児だった僕を拾って頂いた身分で出て行くなんてそんな、」


慌てる部下を見て紅葉はほくそ笑む。「確かに鏡花のことは残念でしたけど、」とフォローに必死な部下はそれに気づいていない。

構って→←撫でて



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こめ(元団子)(プロフ) - ドロシーさん» 嬉しいです! ありがとうございます! (2019年10月16日 0時) (レス) id: a3e8a2be57 (このIDを非表示/違反報告)
ドロシー(プロフ) - 好きです。(真顔)普通に自分の好きな小説のタイプにドストライクすぎて怖いくらい好きです。もうもっとヤってもらって大丈夫っす(鼻血)これからも応援してます!更新頑張ってください! (2019年8月9日 0時) (レス) id: 1a3258aeeb (このIDを非表示/違反報告)
こめ(元団子)(プロフ) - 鯖野郎さん» ありがとうございます どんどんヤります (2019年5月25日 23時) (レス) id: a3e8a2be57 (このIDを非表示/違反報告)
こめ(元団子)(プロフ) - ろもざんさん» 文面にセンスがありすぎて笑ってしまいました。更新はややゆっくりですがこの先もよろしくお願いします! (2019年5月25日 23時) (レス) id: a3e8a2be57 (このIDを非表示/違反報告)
鯖野郎 - いいぞ もっとヤれ(真顔) (2019年5月8日 21時) (レス) id: df533e69bf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こめ | 作成日時:2019年1月14日 14時

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