うずまき2 ページ21
ええと、敦君と芥川はすごく仲が悪いんだっけか。なら彼はさっき、良いタイミングで店を出たという事になるんだろう。
「敵陣にて相談毎など無い。そうだろう、A」
来客を知らせる店のベルがいやに荒々しく鳴ったと思ったらこれだ。じろりと俺に向けられた瞳は冷たい。念押しされるようにもう一度名前を呼ばれ、圧に耐えきれない俺はただ頷くことしかできなかった。
「はァ?」
気に入りません、という態度を隠しもせずに与謝野さんが片眉を上げる。うわ険悪な雰囲気。どうしよう。
「そりゃ彼の自由だよ。何だってアンタが決めるんだ」
「僕が誰よりもAに近しい位置に在る故」
「鏡花は彼を『兄さん』て呼び慕ってるみたいだけどねェ」
「笑止。孤児同士が家族の真似事をしているに過ぎぬ」
「ならアンタは彼の何なんだい」
「恋人だ」
此方の様子を伺いながらカウンターに立っていたモンゴメリちゃんが拭いていたコップを落とすのと、与謝野さんの目が見開かれるのは同時だった。そのどちらにも目をくれず、芥川はぱっと俺の腕を掴んで喫茶店から出た。
代金は前払いしといて良かった、と思いつつ先を歩く芥川に声をかける。
「怒ってる?」
「ああ」
任務を終え貴様の顔が見えぬと思ったら此れだ、と芥川はいつもの平坦な声を忘れ、酷く苛立ったようにそう言った。
俺は少し足を踏み出して芥川の隣に並び、手の甲をすり合わせた。手を繋ごうという意思表示だ。ところがその手は強い力で払われてしまった。
記憶の限りそんなことは初めてだったのでかなりの衝撃だ。急に立ち止まった芥川の顔を見上げて、あれ、と思う。振り払った方の芥川までもが呆然としていたからだ。
「芥川、ほら」
もう一度手を差し出す。芥川の視線が、弱々しくその周辺を彷徨った。
「怒ってないよ」
ゆるりと絡まる指をしっかりと握り返す。叱られるのを恐れる子供のような芥川の態度を、かわいいと思った。
「……何を話そうとしていた。僕との関係に不満でも生じたか」
「んー? 違うよ。たしかに芥川のことだけど……芥川さぁ、最近ヤってる時にビクビク震えてしばらく動けなくなる時あるじゃん。あの状態大丈夫なのかなー、って思って……芥川? どうかした?」
「あれは心配ない故、絶対に誰にも云うな」
「わかった! ……でも何でそんな早歩きになるの? こっち見てよ、芥川ってば」
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こめ(元団子)(プロフ) - ドロシーさん» 嬉しいです! ありがとうございます! (2019年10月16日 0時) (レス) id: a3e8a2be57 (このIDを非表示/違反報告)
ドロシー(プロフ) - 好きです。(真顔)普通に自分の好きな小説のタイプにドストライクすぎて怖いくらい好きです。もうもっとヤってもらって大丈夫っす(鼻血)これからも応援してます!更新頑張ってください! (2019年8月9日 0時) (レス) id: 1a3258aeeb (このIDを非表示/違反報告)
こめ(元団子)(プロフ) - 鯖野郎さん» ありがとうございます どんどんヤります (2019年5月25日 23時) (レス) id: a3e8a2be57 (このIDを非表示/違反報告)
こめ(元団子)(プロフ) - ろもざんさん» 文面にセンスがありすぎて笑ってしまいました。更新はややゆっくりですがこの先もよろしくお願いします! (2019年5月25日 23時) (レス) id: a3e8a2be57 (このIDを非表示/違反報告)
鯖野郎 - いいぞ もっとヤれ(真顔) (2019年5月8日 21時) (レス) id: df533e69bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こめ | 作成日時:2019年1月14日 14時