嘘を見抜くな！ ページ8
リュゼは、姫への思いをクロムに打ち明けた。要約すると、『姫が気になって眠れない』と『話しかけようと後を付けているが勇気が出ない』という事を言っていたのだと思うが、遠回しに言い過ぎてクロムには全く伝わらなかった。クロムはよく分からないままリュゼの部屋を後にした。
リュゼは、姫と婚約するイコール姫と友達になる と勘違いしている。今まで友達なんて出来たことがないから、それでもやもやしていたのだ。
決して恋などはしていない。
いっぽうクロムは、リュゼの気持ちを理解出来ずに終わった事を不安に思っていた。それは、自分の計画が滞るからでは無かった。姫が自分以外の人間と婚約する事が、純粋に嫌だったからだ。
この一件で姫への恋愛感情を自覚したのは、リュゼではなくクロムだった。
クロムの気持ちとは裏腹に、Aはメアの攻略法しか考えていない様子である。
Aは部屋に閉じこもってテレビアニメを凝視していた。テオがドアをノックする音も、テオとグリまるが暗い部屋に独りでいる姫に驚いている声も、何も聞こえないほど集中していた。
テオに肩を叩かれてやっと2人の存在に気づく。
「姫様、何してるんだ？」
『キュアランのこと研究しようと思っててね』
「ああ…メア皇子のためか？」
『そう！』
「悪趣味リン……」
また、誰かがドアをノックした。返事をすると、女の従者さんがドアを開けてこちらを優しく見つめた。
「姫、メア皇子が部屋に招待してこられました」
テオ「ええと、つまり…部屋に来いと？」
「その通りです」
『じゃあ、行ってくるね』
グリまる「頑張ってリ〜ン！！」
グリまるからの応援を背に、メア皇子の元へと早歩きで向かう。
『皇子〜！』
皇子はしかめっ面でドアを開けた。
「うるさい…早く入れ」
そんなぶっきらぼうな言い方あるか！
…と言いたいところだけど、ここは従っておいた方が良いか。
『どうして急に私をお呼びに？』
「お前がキュアランのファンだって……」
やはりそれが目的であったか。
『メア皇子も好きなんですよね？同じ趣味の人がいて嬉し……』
「…嘘ついてるの、気付いてるからな」
『……………え？』
き、気付かれてた…？
！……だめ、ここで焦るともっといけない…。もう開き直った方がいいかも。
『いつからお気づきに？』
「最初から知ってた。お前みたいなやつがキュアランのファンな訳が無い」
『…では、尚更どうして私を部屋に招待なさったんですか』
「それは…」
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作者名：べっこう飴 | 作成日時：2019年1月26日 0時
