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布の擦れる音を散らしながら、クロムが私の顔に手を差し伸べた。私の顎を捉えた右手の、人差し指で唇をふにふにと遊ぶ。焦る私を見てか、彼の口元が緩んでいた。
ああ、やってしまった。またいつものクロムに戻ってしまった。さっきまでは比較的優しかったのになぁ…。
『あ〜〜あのぉ、一応私、病人なんだけど……』
ぼやける頭でなんとか考えた拒否の言葉はあっけなく無視で済まされてしまった。クロムはまだ私の唇を撫でたりしていた。
…………。これ、かなり恥ずかしい……。
続く
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作者名：べっこう飴 | 作成日時：2019年1月26日 0時
