嘘を見破るな！ ページ19
もう吐く寸前に見えるテオに駆け寄った。
『テオ、大丈夫？残りは私が食べるよ』
そう言うとテオは青ざめた顔を赤く染め、眉間に皺を寄せ、ギランと私を睨んだ。
｢そ…そういう訳にはいかない…！おぇっ……姫様は…俺が、うぷ、守…………うえっ｣
テオは頭がかたいなぁ。
はぁ。どうして私の周りにはこうも個性的な人達が集まってくるんだろう…。
『今、お腹が空き過ぎて倒れちゃいそうなの。それ、貰えないかな？』
「姫様、俺に嘘が通よ、うぇ、通用すると思って、る、のか？」
うっ、さすがテオ…。
『嘘付いたのは正直に言う。けど、倒れそうなのは本当だよ。テオが吐かないか心配で倒れそう』
「そ、それはずるいぞ！」
『あぁ〜、くらくらするなぁ〜〜！』
テオは顰めっ面をしてから、諦めたように私にお盆ごと押し付けてきた。
「……ありがとうな、姫様」
『いいよいいよ。普段のお返し。…さて、じゃあ部屋に戻ろうかな。テオもグリまるを連れて来てくれる？』
「あ、ああ」
城内散策中のグリまるを丁度良く見つけたので、3人揃って部屋に直行することが出来た。
テオは扉を静かに閉めると、私に細めた目を向けた。
「…で、姫様？俺を街中で置いて行った理由は？」
うっ。やっぱり忘れてなかったのか…。
テオの言った通り、私達はテオを置き去りにしてそのまま城に帰ってしまったのだ。帰ってからも、特にそれに触れること無く。幸い、私の失踪(？)を心配して一目散に城まで駆け込んでいたから良かったが、テオは完全に私達の記憶から消え去られていた。
ほんとうに申し訳ない。
『ちゃんと探したんだよ？でも見つけられなくて』
｢嘘ついてる時の顔だ｣
｢素直に忘れてたって言うリン！｣
｢い、いや！それは良い！言うな！それはなんかちょっと寂しい！｣
テオが慌て始めた。グリまるは｢む〜｣と鳴きながら眉間に皺を寄せた。
ふいに、テオが私のどこかをじっと見つめ、呟いた。
｢…髪の毛……。灰色…？いや、銀か…｣
私の左肩にかかっていた長い1本の髪の毛をぴーっと取り上げ、観察している。
……………。
………しまった！！クロムのだ！！！！！
あの時に抜けたんだな！？
『ち、違うのよ。クロムが…あの…』
｢クロム？……あぁ、あの人か｣
あああああああ墓穴ぅぅぅぅぅぅ！！！
｢ええと、その…き、す、でも……したのか？｣
テオは少し照れながら、探る様に聞きかけてきた。しかも合ってるし。
ふだんは鈍感なのに、なんで気付くんだ。
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作者名：べっこう飴 | 作成日時：2019年1月26日 0時
