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鍾愛 14 ページ15

ご馳走様でした、と律儀に手を合わせるA。


いつもの仕事用の必要最低限の化粧とは少し違って、今日は服装も含めてふんわりと柔らかい雰囲気に仕上げてあるているのが可愛い。

この後、近くのショッピングモールで服でも見繕ってやろうか。折角こんなに女性としての華を持ち合わせているのに毎日スーツなんて勿体ない。

ドルチェが運ばれてくるのを待っていると電話の着信音が鳴った。それは私の携帯で、ごめん。一寸待っててね、と残して店の外に出た。

携帯を開くと春雛ちゃんからで、よりによってどうしてこの時間にと思ってしまった自分がいた。

先ほどだって、彼女の件で遅刻してしまったと云うのに。

「…もしもし」
「太宰さんッ!お願い、早く来てッ…!助けて!」


少し不機嫌に電話に出ると、春雛ちゃんの怯えたような声がゾッとした。明らかに尋常ではないと私は焦りを感じた。

「大丈夫かい?今、何処にいるんだい」

落ち着け、そう念じて冷静に春雛ちゃんに問いかける。

「家!すぐそこで武装して彷徨いてるの。バリケードが破られるのも時間の問題。お願い!早く!」

「わかった。すぐ行く。落ち着いて、すぐ警察に連絡するんだ」

わかった、と震える声を最後にピ、と電話を切ってテーブルまで戻る。


『太宰さん…?大丈夫ですか?』


顔に出ていたのだろう。Aは心配そうに私を見つめる。休日の筈だったのに、私から誘ったのに罪悪感で押し潰されそうだった。何と詫びれば良いか迷っているとAの方から口を開いた。


『お仕事なら行ってきてください。私は大丈夫ですよ』


そうやって、貼り付けたような微笑みを見せるA。こんな顔をさせる為に食事に誘ったわけではないのに…今日こそ、伝えたかったのに。


「…ごめんね」


外套を羽織りお金を少し多めに置いて店を早足で出た。

その際彼女はどんな顔をしていたのだろうか。見えなかったが…否、見ないふりをした。

泣き出してしまいそうな悲しい顔が目に焼き付いていた。我ながら最低である。然し、仕事の為なら致し方ない。

私は走って現場に向かった。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 文スト , 太宰治   
作品ジャンル:恋愛
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あい - ??? (1月29日 23時) (レス) id: 59cf03caf8 (このIDを非表示/違反報告)
あい - 更新中でしょうか?ワクワクです (1月29日 20時) (レス) @page43 id: 59cf03caf8 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - これ太宰さんどうなっちゃうんでしょうか……あと文才ご凄くありますね! (1月22日 11時) (レス) @page31 id: 68fda9e290 (このIDを非表示/違反報告)
- こういう系あまり読み続けられないんですがこれは一気に読めちゃいました…!文章能力すごい高いですね…尊敬…更新待ってます!頑張ってください! (8月26日 15時) (レス) id: efb8355445 (このIDを非表示/違反報告)
ライム - こういう物語って大体中也ポジの人は振られちゃうので、この展開メッチャ好きです!私が中也推しなのもあるかもですけど、wとにかく更新楽しみにしてます! (2023年3月25日 3時) (レス) @page42 id: e7904a37c4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:桜雪 | 作成日時:2020年1月25日 21時

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