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鍾愛 13 ページ14

メインディッシュを待つ間は前菜を食べながら色々な話をした。国木田独歩の理想論についてや鏡花ちゃんの近況。


勿論、私達は現在個人的な付き合いで完全にプライヴェートだが敵対する組織の相手。現在停戦中にしても相手に有益になってしまう情報を漏らさないよう話す。


そんなこんなで、料理が届く。


さっぱりとした檸檬の香りにぽっと梶井さんの顔が浮かぶ。彼とは以前数度爆弾を拝借した程度の仲であるが、中也さんの呑み仲間である為彼の話は度々耳にする。


『いただきます』


フォークに数本くるりと巻きつけて少し熱を覚ましてから口に入れる。
檸檬の爽やかな風味が口に広がり、それを調和させるまろやかなクリーム。ブラックペッパーが香るサーモンが美味しい。スパゲティも程よい硬さでちょうど良い。


「どうだい?」

『とっても美味しいです』

「それは良かったよ」


よくこんな店ご存知だなあと感心しながら食べ進める。すると、太宰さんはふと私に問いかける。


「そう云えば、あの後芥川君は大丈夫だったかい?」


彼の口から芥川君の話が出る。流石太宰さんの愛弟子だ。最初こそ喧嘩ばかりだった時のことを思い出したが、最近では随分仲良くなった。


『ふふ…彼は貴方に認められても相変わらず強くなる為刃を磨いていますよ』


先日訓練場で彼に付き合わされて異能で太宰さんになりきってひたすら攻撃を交わさせられた。

こんな危険な役、誰が買って出るかと思ったものの適任は君しかいないと首領を通して云われたので有れば断れない。

しばらく異能攻撃を繰り返して彼は口からぽたぽたと血を吐いた。
彼はあまり肺が良くない。もうそこで強制的に気絶させて医務室に引きずっていった。
確かにこんな荒技を躊躇なく出来て、かつ暇な人間と云えば私くらいしかいない。心外である。


「君たち、上手くやれているのだね。あの芥川君が特定の人間…ましてや私の元部下の君に心を開くなんて意外だよ」

『いえ…最初の方は結構大変でしたよ』

何故貴様のような愚図が太宰さんに…!とモテ男太宰さんのせいで毎日のように半殺しにされた、などと物騒な話は平和なレストランでするのは辞めよう。他にも客がいるわけだし。

そもそも、武装探偵社社員とポートマフィア準幹部がこんなところで食事をしている事自体御法度だ。

太宰さんは既に食べ終えており、私も最後の一口を口にした。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 文スト , 太宰治   
作品ジャンル:恋愛
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あい - ??? (1月29日 23時) (レス) id: 59cf03caf8 (このIDを非表示/違反報告)
あい - 更新中でしょうか?ワクワクです (1月29日 20時) (レス) @page43 id: 59cf03caf8 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - これ太宰さんどうなっちゃうんでしょうか……あと文才ご凄くありますね! (1月22日 11時) (レス) @page31 id: 68fda9e290 (このIDを非表示/違反報告)
- こういう系あまり読み続けられないんですがこれは一気に読めちゃいました…!文章能力すごい高いですね…尊敬…更新待ってます!頑張ってください! (8月26日 15時) (レス) id: efb8355445 (このIDを非表示/違反報告)
ライム - こういう物語って大体中也ポジの人は振られちゃうので、この展開メッチャ好きです!私が中也推しなのもあるかもですけど、wとにかく更新楽しみにしてます! (2023年3月25日 3時) (レス) @page42 id: e7904a37c4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:桜雪 | 作成日時:2020年1月25日 21時

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