鍾愛 11 ページ12
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そして迎えた当日。
張り切り過ぎと思われるかもしれないが、今日は化粧にそれなりに時間をかけて慣れないスカートも履いてみた。
白のレースシャツにベージュのロングスカート。肩に付くくらいの長さまで伸びた髪は内向きにふんわりと巻かれており整えられた爪にはナチュラルな薄桃色のマニキュアを乗せた。
昨晩樋口先生に特別出勤してもらい、アドバイスをもらいながら完成させた
変ではないだろうか。ちょっと服が可愛すぎて浮いてしまうか。鏡を前に家でそんなことばかり考えてしまって落ち着かなかった。
そわそわと可也早めに家を出て、電車に乗ると一本の連絡が入る。
【仕事の関係で一時間ほど遅れる。御免ね。】
大丈夫です。お待ちしております。と相変わらず堅い文章で簡潔に返事をする。太宰さんが仕事関係を真面目にこなすのは珍しい。
今から家に戻るのも何だし、一時間位なら待っていられる。待ち合わせ場所の公園に着いて、ベンチに座る。
平日だと人が少なめで、小さい子供たちが殆どだった。私の隣のベンチでお母さんらしき人が何人か座って談笑していた。
家族か…私も幼少期はああだったのだろうか。
私は家族と縁を切ってしまった。特に母なんて殆ど記憶がない。私は彼処の家とは違って家庭を持って子供は十分に愛してあげたい。
「そう云えばご家族で旅行に行かれたりするの?私は今年二回海外旅行に行ったのよ〜」
「あぁ…否、ウチは三人兄弟だから経済的余裕がないかなぁって」
「えぇ!旦那さん幾ら稼いでらっしゃるの?ウチの旦那は年収1600万で手取り1000万よ〜やっぱ、年収って大事よね〜」
隣のベンチのお母さん方の話し声が聞こえる。
…正直、こうはなりたくない。
色々考え事をしたり景色などを見ているうちに一時間は経過していた。何なら現在、正確に云うなら一時間十五分経過していた。
(あと十五分待っても来なかったら連絡しよう)
十五分後に結局、連絡を入れても返事が来なくて本来の待ち合わせ時間からそろそろ二時間経過しようとしていた。
子連れのお母さん達も帰ってしまって現在広い公園にぽつりと一人だ。
少々眠気にうとうととしていると、漸く待ち侘びたあの人が目の前に居た。
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あい - ??? (1月29日 23時) (レス) id: 59cf03caf8 (このIDを非表示/違反報告)
あい - 更新中でしょうか?ワクワクです (1月29日 20時) (レス) @page43 id: 59cf03caf8 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - これ太宰さんどうなっちゃうんでしょうか……あと文才ご凄くありますね! (1月22日 11時) (レス) @page31 id: 68fda9e290 (このIDを非表示/違反報告)
悠 - こういう系あまり読み続けられないんですがこれは一気に読めちゃいました…!文章能力すごい高いですね…尊敬…更新待ってます!頑張ってください! (8月26日 15時) (レス) id: efb8355445 (このIDを非表示/違反報告)
ライム - こういう物語って大体中也ポジの人は振られちゃうので、この展開メッチャ好きです!私が中也推しなのもあるかもですけど、wとにかく更新楽しみにしてます! (2023年3月25日 3時) (レス) @page42 id: e7904a37c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜雪 | 作成日時:2020年1月25日 21時