愛吐 37 ページ46
彼らが双黒と呼ばれ出したのは中也さんの汚辱を使って一晩で敵組織を建物ごと壊滅させた日からだった。
まさに、裏社会最強にして最悪のコンビ。
(でも…)
「私の援護が遅れれば中也が死ぬ。選択は任せるよ」
そんな危険な手を使う等私は心配だった。別にお二人の事を信じていない訳じゃない。
然し、四年半組んできた上司の目を見た。
その目には強い決意と力が宿っていた。
「A。頼むぜ」
『…怪我したら許しませんよ』
「わかってる」
私の頭に帽子を被せて彼は敵へ向かう。その後ろ姿はかっこ良かった。
「…汝、陰鬱なる汚辱の許容よ。更めてわれを目覚ますことなかれ_____」
地面がみしりと音を立てて割れる。私は帽子をギュッと抱きしめた。
元の身体能力に加えて強力な異能。地面を蹴り空中を移動する姿は宛ら痺れるパフォーマンスを見ている様で____
中也さんの汚辱形態は自身の質量密度を増大させて戦車すら素手で砕く。圧縮した重力子弾は凡百質量を呑み込む暗黒空間である。
太宰さんは組合の刺客の喉元にナイフを当て乍らそう解説する。
彼の異能は本当に強い。然し…
『太宰さんの無効化のサポートがなければ、彼は力を使い果たして死ぬまで暴れる』
重力子弾で攻撃を続けるものの敵は高速再生を繰り返すばかりで一向に倒れそうもない。
異能でもないなら本当に彼は一体何だというのだ。
肉体改造説か、宇宙人説か。
そんな事を考えているうちに中也さんの身体はガタが来ていた。
その証拠に大量の血を吐いており、身体は完全に異能に侵食されていた。
『太宰さん!もう中也さんを止めないと!』
焦って太宰さんの方を見る。彼の瞳からも焦燥の色が窺えた。
「生憎だね。ああなったラヴクラフト外部から破壊する手段なんて存在しない」
敵の相方であるジョン・スタインベックはそう語る。
ならどうすれば。
"外部から"
そうか。詰まりは…
「内部からの攻撃は効く訳だ」
太宰さんの手には小型機械が握られていた。ニヤリと口角を上げるとを釦を押した。
(あ、)
先刻の悪ふざけは____作戦の一環だったのか。
「やっちまえ。中也」
中也さんの一撃により一帯が爆発する。私は爆風から身を守るため受け身の姿勢を取る。
漸く煙が晴れた場所は地面が削れ、植物が吹き飛び噴火口の様な窪みができた。
【ッハハ、ハハハハハハッ】
敵を倒したものの、一向に彼は止まる気配がない。
早く無効化しないと、拙い。
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桜雪(プロフ) - りかまるさん» コメントありがとうございます。応援してくださる方がいて本当に感謝してもしきれません。拙い物語ですがこれからもよろしくお願いします、! (2019年4月13日 12時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - のら猫さん» 10分、、それはすごい、、!コメントありがとうございます!自分のペースで頑張ります! (2019年4月13日 12時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - びあんさん» コメントありがとうございます。やっぱり小説を書くのってとても労力のいることだと思います。びあん様も同じ作者の身として無理のない程度に頑張りましょう! (2019年4月13日 11時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - sonataさん» ありがとうございます。sonata様の作品とても素敵でした、、!大好きだなんて言葉を頂けてとても嬉しいです。お互い頑張りましょう! (2019年4月13日 11時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
りかまる(プロフ) - ゆっくりでも大丈夫です。無理なく、執筆して頂けたらと思います。応援しています! (2019年3月24日 22時) (レス) id: dbac4f4de5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜雪 | 作成日時:2018年12月29日 21時