誘拐.1 ページ1
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__「君を誘拐しに来ました」
「はい?」
満月が輝く綺麗な夜。
その月を見ようと自室のベランダに出てきた時、知らない男の人が目の前に現れた。
......誘、拐?
誘拐しに来たって言ったよね?
戸惑う私を他所に男の人は話を続ける
「誘拐っていうか、これは俺の自己満足なんだ。あぁ、心配するなよ、君の安全は保証する」
「ま、待ってください」
形のいい唇からペラペラと出てくる言葉を、なるべく合間のいいところで遮る。
男の人は首をかしげながらこちらを見つめた。まるで「どうかした?」とでも言いたそうに
「誘拐とか、何を言ってるのかさっぱりで......」
「......もしかして誘拐自体知らない?」
「それは知ってます」
簡潔に済ませば人攫いのことだろう。
私が聞きたいのはそんなことではない。
「......私なんか誘拐してなんになるんですか」
見た目も普通。成績も普通。運動神経も普通。
そんな自分を誘拐して、目の前の男の人になんのメリットがあるんだ。
「君が好きだから」
「......っ」
「簡単な理由だろ?」
簡単な理由だ。でも、彼の好きは簡単に済ませられるものなのだろうか。
だっていくら好きでも、誘拐なんて。
_なんだろう、急に怖くなってきた。
私は「お引き取りください」と早口で言い捨てて部屋に戻ろうとするも、「おいおい待ってくんねーの?」と男の人は後ろから抱き締めて阻止する。
少女漫画なら絶対恥ずかしくなる行為も、この場合は恐怖でしかない。
「離してください!」
「......あんま乱暴な真似したくなかったんだけど、許してくれよな」
その瞬間、口になにかを当てられ、自然と体の力が抜けていく。
抵抗しようと足掻いてた足も腕も動かない。瞼がゆっくりとおりてきた。
「......やっと手に入れた」
眠る前に聞こえたのは、嬉しそうなその一言だった。
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榛名雛(プロフ) - こういう、ストーリー待ってました!めっちゃ、楽しみです。更新、無理せずに頑張ってください!待ってます! (2019年2月23日 18時) (レス) id: 483dd6e322 (このIDを非表示/違反報告)
ほたる - こういう作品滅多に見ないから嬉しいです!!更新頑張ってください!!! (2017年11月4日 21時) (レス) id: 32cc05fed0 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - いきなりの展開ですごいおもしろいです!この先どうなるのか楽しみです!頑張ってください! (2017年8月18日 3時) (レス) id: 51d942afe4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちーず | 作成日時:2017年8月16日 22時