検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:5,623 hit

誘拐.1 ページ1





__「君を誘拐しに来ました」


「はい?」



満月が輝く綺麗な夜。

その月を見ようと自室のベランダに出てきた時、知らない男の人が目の前に現れた。


......誘、拐?
誘拐しに来たって言ったよね?


戸惑う私を他所に男の人は話を続ける



「誘拐っていうか、これは俺の自己満足なんだ。あぁ、心配するなよ、君の安全は保証する」


「ま、待ってください」



形のいい唇からペラペラと出てくる言葉を、なるべく合間のいいところで遮る。

男の人は首をかしげながらこちらを見つめた。まるで「どうかした?」とでも言いたそうに



「誘拐とか、何を言ってるのかさっぱりで......」


「......もしかして誘拐自体知らない?」


「それは知ってます」



簡潔に済ませば人攫いのことだろう。

私が聞きたいのはそんなことではない。



「......私なんか誘拐してなんになるんですか」



見た目も普通。成績も普通。運動神経も普通。

そんな自分を誘拐して、目の前の男の人になんのメリットがあるんだ。



「君が好きだから」


「......っ」


「簡単な理由だろ?」



簡単な理由だ。でも、彼の好きは簡単に済ませられるものなのだろうか。

だっていくら好きでも、誘拐なんて。


_なんだろう、急に怖くなってきた。

私は「お引き取りください」と早口で言い捨てて部屋に戻ろうとするも、「おいおい待ってくんねーの?」と男の人は後ろから抱き締めて阻止する。

少女漫画なら絶対恥ずかしくなる行為も、この場合は恐怖でしかない。



「離してください!」


「......あんま乱暴な真似したくなかったんだけど、許してくれよな」



その瞬間、口になにかを当てられ、自然と体の力が抜けていく。

抵抗しようと足掻いてた足も腕も動かない。瞼がゆっくりとおりてきた。



「......やっと手に入れた」



眠る前に聞こえたのは、嬉しそうなその一言だった。

誘拐.2 御幸side→



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (21 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
33人がお気に入り
設定タグ:御幸一也 , ダイヤのA , 誘拐
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

榛名雛(プロフ) - こういう、ストーリー待ってました!めっちゃ、楽しみです。更新、無理せずに頑張ってください!待ってます! (2019年2月23日 18時) (レス) id: 483dd6e322 (このIDを非表示/違反報告)
ほたる - こういう作品滅多に見ないから嬉しいです!!更新頑張ってください!!! (2017年11月4日 21時) (レス) id: 32cc05fed0 (このIDを非表示/違反報告)
- いきなりの展開ですごいおもしろいです!この先どうなるのか楽しみです!頑張ってください! (2017年8月18日 3時) (レス) id: 51d942afe4 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ちーず | 作成日時:2017年8月16日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。