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書き上げた1枚の桜の絵を見ているといきなり戸が開く。
驚いてそこをみるとそこには菱田さんが立っていた。
「…ノックくらいしてください」
春草「したよ。気づかないキミが悪いんじゃない?」
菱田さんは誰に対してもこういう態度なのだろうか。
整った顔をしてるくせに性格がこうだと絶対嫁なんか貰えないだろう。
春草「鴎外さんがキミとあの娘の歓迎会をしたいらしい。外での食事になるから早く準備して。」
「準備って言われても特にすることないですけどね」
春草「なら早く外にでなよ。置いていくよ」
「今、でますけど?」
私は喧嘩っ早かったのだろうか。
それとも、菱田さんの周りにいる人は皆こうなってしまうのだろうか。
下へ降りていくと居間には既に芽依と森さんがいた。
鴎外「やぁ、子ネコちゃん!今、子リスちゃんにも聞いているのだが、何か食べたいものなどはないかな?」
食べたいもの…か。
生憎、自分の好みのものまではまだ思い出せない。
私が云々と悩んでいると隣から声があがる。
芽依「私、牛丼でいいです。1杯380円くらいの。」
「ああ、私もそれでいいですよ……」
ここまで言って気づいたが、明治時代の物価はどれくらいなのだろうか。
普通に考たら380円は大金に分類される気がする。
鴎外「はは、子ネコちゃんと子リスちゃんは何処かのお嬢様だったのかな…」
春草「380円って、どんな豪華なもの奢らせる気なの。意外とこの娘も図々しい…?」
森さんと菱田さんの反応を見る限り私の考えは正しいだろう。
横でも芽依が同じことに気づいたみたいで顔を青くしていた。
芽依「あああ、ええと…!!」
「芽依、落ち着いて」
あわてふためき出す芽依を落ち着かせようにもかなりの難易度だ。
その場で、だが暴れ回る芽依は普通に力が強い。
鴎外「ふむ、だが牛丼というものはわからないが牛鍋はどうだろうか?」
芽依「牛……鍋?」
聞きなれない単語に芽依は目を輝かせる。そういえば、彼女は肉に特に牛肉に目がないんだった。
鴎外「なら、決まりだな!さぁ、外に出るとしようじゃないか!」
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作者名:あおば | 作成日時:2019年5月1日 17時