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決勝戦2 ページ42

いつも元気いっぱいの沢村くんといえど、
この場面で緊張しないはずがない。
ここはもう、一也の強気なリードで引っ張っていくしかない。

あとアウト1つ取れば、チェンジとなる場面、
打席には鳴くん。

一也は鳴くんの性格をよく知っている。
そんな鳴くんを逆なでするような強気なリード。
それにしっかり応える沢村くん。


りか「すごい、三振とっちゃったね!」

ゆみ「このままいい流れで次の回、点取りたいね。」

『大丈夫、きっと点取ってくれるよ...!』



8回表、青道の攻撃---

ヒットとバントで繋ぎ、スリーバントスクイズで
青道は1点を返し【2-3】
続いて代打の1年生が、バットを折りながらもヒット。
3番、フォアボールを選び、打席には4番結城くん。

攻める側も、守る側もここが踏ん張りどころだ。


ゆみ「もう、心臓に悪いわ...。」

『分かる...。』


手に汗握るとは、まさにこのことだ。
心臓をバクバクさせながら、結城くんの打席を見守る。

鳴くんのチェンジアップで空振りかと誰もが思った時---



なんと、打球は綺麗に打ち返され待望のタイムリーツーベース!
青道一挙逆転でスコアは【4-3】

球場のボルテージも最高潮だ。


りか「すごいすごい!逆転だ!!!」

『うん!!さすが4番!!』

ゆみ「やば、感動して涙出てきた...」


そのあとは、鳴くんが後続を断ち、3アウトチェンジ。

シニア時代の私が知っている鳴くんなら、マウンドで
キレたり不貞腐れたりしてもおかしくない。
しかしそんなことはせず、しっかりとエースとしての
仕事をこなす鳴くんを見て、成長を感じていた。

ただ、鳴くんのことだ。悔しくないわけがない。
稲実だって夏二連覇を目指す強豪校。
他の選手もこのまま終わるはずがない。

逆転したとはいえ、1点差。
そんな一抹の不安が残る。



8回裏も、沢村くんのナイスピッチで稲実は点を奪えず。

9回表では、鳴くんがエースの意地を見せ0点に抑える。

試合は9回裏、稲実最後の攻撃へ。

青道、あとアウト3つで甲子園。
きっと誰もがそう思っている。

しかし、現実は残酷だ------



9回裏、好守備もあり2アウト。
あとアウト1つで甲子園。

そんな矢先、沢村くんのデッドボール。

ピッチャーを交代するも、なかなかアウト一つが取れず
フォアボールのあと、打席には4番。

2塁フォースアウトにはならず
その間に1点が入り、最後は稲実のエース
鳴くんのバットが試合を決めた------



【4(青道)-5(稲実)】





優勝は、稲城実業。

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作者名:mari | 作成日時:2022年7月26日 0時

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