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2人の1年目 ページ33

4月から社会人となった私は、慣れない日々を送っていた。
初めの頃はお父さんや一也、どうしてるかなと考える時間も
多かったが仕事が忙しくなるにつれ、私も自分の生活で
いっぱいいっぱいとなり、連絡もあまりできなくなっていた。

社会人って、なんて疲れるんだ......。
あぁ、弟に癒されたい......。

たまに一也へ連絡をしてみるけど、返ってくるのは
送ってから数日後。
うん、なんとなく予想はしていた。

そんなある日、珍しく一也からメールが届いた。



【正捕手になって、試合に出ることになった。】



え!?
正捕手ってことは、レギュラーってことだよね?
いつも話していた先輩はどうなったんだろうか。
一也があそこまで尊敬する人だ。
そんなすごい人から、こんなに早く正捕手を
勝ち取れるものなんだろうか。

私もこの日は連絡をする余裕があったので電話をかけてみた。
まぁ、おそらく出ないだろうけど。



「もしもし?」

『え!?でた!!!』

「姉ちゃんがかけてきたんだろ笑」

『いや、電話出れたとしても、
出てくれると思ってなかったから。』

「俺のことなんだと思ってんの?」

『ごめんごめん笑
あ、とりあえず正捕手おめでとう、でいいんだよね..?』

「...うん、サンキュ。」

『...元気ないね、どした?』


一也はしばらくの沈黙の後、ぽつぽつと話してくれた。


正捕手の先輩が怪我をしてしまい、長期離脱となったこと。
自分は実力で、正捕手の座を手にしたかったこと。


『...そっか。じゃあ、先輩に見られて恥ずかしくない
正捕手にならないとだね。』

「だよな。....だからさ、当分試合も見に来なくていいから。」


えぇ〜〜〜と言いたいところだが、ぐっと堪える。


「ちゃんと、実力つけて先輩にも姉ちゃんにも
恥ずかしくないように、強くなるからさ。」

『わかった。一也がいいって言うまで行かない。
あ、でも気づいたらもう3年生ですとかは、なしだからね!?』

「さすがにそれはねぇよ笑」

『実際私も仕事忙しくて、毎日ヘロヘロなんだよね〜。』

「大丈夫?ちゃんと飯食ってる?」

『食ってる〜。』

「ほんとかよ。」


久々に一也の声を聞いて、癒されていると---


?「おい御幸!!お前誰と話してんだよ!」

一也「げっ。見つかった。わりぃ、切るわ。」

『え!?ちょっとかず---』



無常に流れる電話の切れた音。

この時間に一緒にいるということは部活仲間だろうか。
仲良しのお友達、できたかなぁ....。

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作者名:mari | 作成日時:2022年7月26日 0時

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