【◇】御幸一也の姉ちゃん (ページ32)

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入学祝いページ32

一也「で？何買いに行くの？」

『着いてから教えてあげる～！』

一也「(上機嫌だな...。)」

家から電車も使って移動すること30分。
大型ショッピングセンターに到着。

『ここ！！』

「スポーツショップ？？」

『一也の入学祝いに、欲しいもの買ってあげる。』

「え、いいよ。父ちゃんにもミットとか部活で必要なもの
いろいろ買ってもらう予定だし。続けて使えるものは
そのまま使うから--」

『うだうだ言ってないで、ほら、行くよ！！』

遠慮しまくっている一也を、無理やり引っ張って
野球のコーナーへ連れて行く。

口では遠慮していても、やっぱり色々見ていると
欲しいものがあるのか、顔に欲しいと書いてある。

私は手を開いて、一也の顔の前に突き出す。

「なに？手どうかした？」

『5。使っていいよ。』

「.........5千円？」

『バカ。5万だよ！！！』

「ご、5万！！？」

『言っとくけど、遠慮なしね。総額5万になるまで
姉ちゃん絶対帰らないから。』

「いや、さすがに....。」

『木製バット新しく欲しいって言ってなかったけ？
あとバッティンググローブも古いよね？』

「うっ....確かに言ってたけど.....。」

『他にも消耗品とか、あった方がいいもの、サイズ的に
買い替えた方がいいもの、いくらでもあるよね？』

「.....ほんとにいいの？」

『姉ちゃんに二言はない！一也の入学祝いの時のために
バイト代ちゃんと別に貯めておいたんだから。
いずれ甲子園に行く弟のためなら、5万なんて安いもんよ！』

「甲子園.....。」

『なに？行くんでしょ、甲子園。』

「...絶対行く。」

『なら遠慮せずに、欲しいもの買いな。』

やっと買う気になってくれたのか、
欲しいものを選び出した一也。
普段めったにわがままを言わない子だ。
野球に関するものくらい、欲しいものを買ってあげたい。

『ねぇ一也まだ～～～～～？』

「まだ！....こっちがいいかな、いや、
やっぱ機能性考えたらこっちかな......」

もうかれこれ1時間だ。
私から見ればどっちも一緒だろ、と思うが
本人からしたら、全然違うものなんだろう。

「姉ちゃん、これ白と黒、どっちがいいと思う？」

『白。』

「じゃあ白にする。」

んもうっ！！！
かわいいかよ！！！！！

帰ってからも、とんでもなく上機嫌だったらしく
お父さんからお礼のメールが届いた。

喜んでもらえたなら、なによりだ。