【◇】青道のマネしてます

#42 ページ42

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今日は薬師のマネの日。

真田くんか……嫌だな。

嫌いってわけじゃない、けど苦手の分類には入る人物。

ため息をつきながら薬師のグランドに幸子と向かう。


「でも薬師にひとりAさんの好物の子いますよ」

『そんな疑わしい言い方をするんじゃありません』

「あ、ほらほらあの子」

『無視かよオイ』


相変わらずヒドイな、とか思いながらも幸子の指差した方を見る。

そこには人の目も気にせずバットを大いに振り回す男の子がいた。

その命中率のすごいこと。

真田くんの投げる球をばかすこ打って心もバキバキに折ってる。


『すっげ。でも残念ながら私は川上とか樹くんとかそういう系男子が好物なんだよね』

「うわぁ、もう私の隣歩かないでください」

『ちょっとちょっと本気にしないで！』


幸子に抱きつきながら「もう離さない」とかふざけたこと言ってると、頭上から声が降ってきた。


「おいお姉ちゃん達、青道のマネさんだろ？」


2人で顔を上げるとチクチクしてそうなヒゲを生やしたおじさんがいた。

思わず幸子ごとその人から離れる。

そして離れたところから幸子を盾にした。


『だだ、誰ですか！！』

「なに私を盾にしてんだこの野郎」

『不審者ならこの幸子がボコボコに！』

「ふざけんなよ」

『ついでにそのヒゲも手入れしてやるって言ってるからどっか行ってください！』

「お前のその頭も手入れしてやろうか」


べしっと幸子に叩かれ、呆れたようにため息をつかれた。

叩かれる意味もため息をつかれる意味もわからず幸子を見る。


「この方は薬師の監督さんです。なに失礼なこと言ってるんですか」

『……ほぇっ？』


監督？薬師の？

……………この人が？？


『嘘だぁ！だってもろ不審者顔じゃ』
「Aさん、そういうこと直球に言ったらダメですよ」

「否定はしてくれないんだ！！」


鋭いツッコミを入れてくる薬師の監督らしき人。

よくよく見たら薬師とかかれた練習着を着ていた。

私は慌ててぺこりと頭を下げる。


『不審者と勘違いしてしまいホントごめんなさい！！今でも不審者が薬師高校野球部のコスプレしてるようにしか見えないですけど…』

「うわこのねーちゃん失礼！超失礼！」

「すいませんうちのAさんが…」


幸子が言うと、なんだなんだと薬師の人が集まってきた。


「あははっ！監督、不審者と間違えられてるじゃないですか！」


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『さ、真田くん…』
「おはよーございます、木下さん♪」
『……』

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