#30 ページ30
.
『どっこいしょ』
「仕事お疲れ様です」
部活終了後、ジャグを片付けていたら後ろから声がした。
だけど私はそれをガン無視。
え？なぜかって？
それはモチロン、声の主が御幸だからだよ。
「Aさーん、いい加減返事してくださいよー」
呆れたように御幸は言う。
なんだかんだ言って2日間一回も返事してないからね、うん。
倉持や沢村は謝ってきたけどこいつは謝るどころかもっとふざけてくるし。
誰がそんなのに返事するか。
「A。ちょっと頼みたいんだが」
『あ、哲。いいよ。なんかあった？』
そんな御幸を放置して私は哲のところへ行った。
「今度の試合の相手のデータをまとめた資料が部室にあると思うんだが、ちょっと取ってきてくれないか？今時間がなくてな」
『おっけおっけ。じゃあ後で渡しに行くねー』
「すまんな」
私はそのまま部室へ直行した。
しばらくあさりまくり、資料を見つけた。
見つけたのだが。
棚の1番上の上。
私の身長じゃ到底届かない所にそれは置いてあったのだ。
『嘘だろ…』
仕方なく椅子を持ってきて乗るもまだ届かない。
背伸びをしてギリギリ触れるくらい。
『もちょっと！』
多少くしゃっとしながら紙を掴み、力を抜いたらふらっと後ろに倒れた。
『(はいぃいッ！？)』
ぎゅっと目をつぶり、襲ってくるはずの痛みを待ち構えるもなにか弾力のあるものを感じた。
そしてふわっと覚えのある匂いが香る。
「って…Aさん、だいじょーぶですか？」
『へ……御幸！？ちょ、なにして…！け、怪我はっ？』
急いで御幸から退こうとしたら、ぐいっと手を引っ張られ御幸の腕の中にすっぽり収まった。
私の思考回路がショートし、動かなくなる。
「やっと返事してくれましたね」
『……あ…』
「この前の件についてはごめんなさい。でも、2日もAさんの声が聞けなかったのは寂しかったですよ」
耳元で喋られるとくすぐったくて肩が上がる。
「許してくれますか？」
ぎゅっとより一層力が加わり、私の顔は熱くなる。
こ、こいつなんでこんなことして…
『も、もう分かったから……離して…』
精一杯言うと、御幸はヘラっと笑いながら私を離した。
不覚にも御幸にドキッとしてしまったのは、なかったことにしたい。
.
.
「やっぱおもしれぇww」
『…は？』
「いやこうしたら絶対許してくれるだろって思って」
『やっぱこいつ嫌！！』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 347人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桃福(プロフ) - 私福井県生まれ福井県育ちなので、はよしねまでびっくりされるのめっちゃわかります！！ (2019年11月21日 8時) (
レス) id: 66127a5497 (このIDを非表示/違反報告)
朝霞 - 勘違いならすみません…でも似てる部分が多くて… (2018年5月21日 10時) (レス) id: 277a851dae (このIDを非表示/違反報告)
朝霞 - 他の作品の盗作ですか？ (2018年5月21日 10時) (レス) id: 277a851dae (このIDを非表示/違反報告)
でびるどーる - オオムラサキさん» マジですかありがとうございますー！他作品も見てくれてるなんて超嬉しいですっ…！不定期更新ですが頑張ります！！ (2017年9月5日 21時) (レス) id: bcb3d65f76 (このIDを非表示/違反報告)
オオムラサキ - でびるどーるさんの作品大好きです！倉持のと美男美女も全部見ました。最高でした。これからも更新頑張ってください！！ (2017年8月30日 20時) (レス) id: 9910ac75da (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：でびるどーる x他1人 | 作成日時：2017年5月21日 20時
