無終曲

第10話　失踪原因 ページ37

悟飯が失踪して３日。
テレビでは俺達のいる街が映し出されている。
女がマイクを持ち、真剣な眼差しで言葉をニュースを見る者達に投げ掛けて
俺達はただただその画面に映る女の言葉を聞く。

『龍球高等学校、1年1組の生徒達15名と仙名中学校の1年3組孫悟飯さんの失踪はどのような関係があるのでしょうか？ご家族のお話によると、孫悟飯さんは自宅に何者かが訪ねて来た後に失踪した模様です。しかし、15名の生徒の皆さんは帰宅途中、忽然と姿を消し＿

プチ、と画面が真っ暗になる。
テレビのリモコンを持っているのはラディッツ。
…どうやら、もう聞きたくない様子だ。

「…なんか、引っ掛かる。」
「引っ掛かるって？」
「悟飯は俺達の中でも一番真面目な性格だ。姉貴だって、それはわかってるだろ？」

コクリと頷いたと同時に、ハッと気づく。
もし知らない人が来て居たとして、あの真面目な悟飯がホイホイついて行くのだろうか？
まず、俺達に相談するのが悟飯だ。
ならば、家に来たのは悟飯が心を許す様な、知り合い？

「もし、家に来たのが悟飯の担任の先生とか、友人とかだったら…」
「あり得るって…いやでも考えろ。なんで連れ去る必要があるんだ？」
「ま、まさか、ジジイとババアの麻雀仲間！？」
「ブロリー待てって、麻雀仲間がなんで悟飯を連れ去るんだよ？あいつらには麻雀仲間と連絡をたまにとらしてやってるじゃんか。」

みんなでうんうんと考える。
すると悟天が、あ、と声を上げた。

「どうした？」
「…悟飯兄ちゃん…確か、許すもんかってなんか怒ってた気がする。」
「怒って…？とりあえず、情報集めないと。」

テレビをつける。
もしかしたら、内容は変わってしまっているかもしれないけど…

『なお、孫悟飯さんが失踪した日に、龍玉警察署から孫容疑者が脱獄した模様です。孫容疑者は孫悟飯さんの実の父親であることがわかっています。』

来たのは親父。悟飯が許せない相手も薄々わかっていたが、親父だ。
悟飯は昔から親父が嫌いだった。
みんなと違う幼稚園や学校に入れられた挙げ句、寝る暇があるなら勉強しろといつも怒鳴りつけていたからだ。
更に悟飯が小学2年になった時には食事すらをもするなと言った。
悟飯にとって一番休める時間はお風呂に入る時だけ。
そしてそんな親父に愛想を尽かした母親は不倫相手の家に逃げた。

親父は夜が暇になったと、唯一の女である俺に手を出した。
週3、夜中に俺は親父の相手をしなければならなくなったのだ。

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