盗み_33 ページ34
.
中原side
余りの白々しさに思わずムカついて異能で地面がひび割れる。
「 忘れたとは云わせねェぞ
手前に
『 訊きたいことと云うのは其の事かな 、
其れなら謝るよ
殺した根拠が今はもう特に無いことに 』
此奴は云った
" 殺した理由なんて無い " と。
つまり殺された奴にとってみれば無駄死だったと 、
「 巫山戯んじゃねェぞ……
何の意味も無しに彼奴等は死んだッてのか? 」
無意識に握った拳がギチギチと鳴り、震える。
物凄い殺気で奴を睨みつける
其れこそ、視線で殺す勢いで。
『 ……そうだよ 』
俺の問いに少しの間を置き、迷いのない真っ直ぐな声で其奴は肯定した。
我慢できなくなり、鉄格子越しに手だけを伸ばし其奴の襟を掴みそしてベクトルを上げる。
「 手ン前……
其れじゃあ、何で殺そうだなんて考えたんだよ 」
其れも何となくッてか?、と鼻で笑うように尋ねるも怒りはどんどん膨らんでいき。
だが奴は、其の問いに対してだけ 否、と云った。
目隠しで見えなかったが其奴は真剣な眼差しを俺に向けていた気がした。
理由があって殺し、殺したら理由が無くなったァ?
どんな理由でもそんな事に成る筈がねえ
なんて俺の考えは怪盗の言葉によって覆された。
『 僕はね、
___ " 血の色が見たくて " 人を殺したんだ 』
「 ………は、? 」
血の色が見たいから…?
そんな餓鬼みてェな欲に殺されたッてのか…?
理解ができなかった。
唯、奴は…怪盗は何時までも真剣で。
『 僕は先天性で色の見えない目の異常があってね
この二十一年、色を知らずに生きてきたんだ。
これが如何云う意味か、
君には分からないのだろうけど 』
殺された構成員の事は未だ許してはいない。
だが、自然と襟を掴む力もベクトルも弱まっていて
「 あァ…分からねえな 」
口だけしか見えない此奴の顔が余りに寂しそうに見えて、俺は何も云えなくなった。
貴方side
きっと帽子くんは私を哀れんでいるのだろう
でも私が欲しいのは " 色のある世界 " なんだ。
同情も哀れみも欲しいなんて思ったことはない
血の色とは何だろう
赤色とは何だろう
味や音、匂いを知ったところで
……帽子くんは何時の間にか地下牢から消えていた。
.
123人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
オズ - dGAzIwL2bmd18Yxさん» うあ…嬉しすぎるお言葉……ありがとうございます!!!頑張りますね!!! (2022年7月13日 20時) (レス) id: 1d6204a61d (このIDを非表示/違反報告)
dGAzIwL2bmd18Yx(プロフ) - もう、やべぇ、、(文才が天才過ぎて語彙力が4にました)面白過ぎます‼︎続編の更新も楽しみに待ってます (2022年7月11日 1時) (レス) @page50 id: d1624c287f (このIDを非表示/違反報告)
オズ - *深音*(みおと)さん» ああああありがとうございます!!最終回まで頑張って書きますね!! (2021年8月18日 12時) (レス) id: bf4e4a8e9b (このIDを非表示/違反報告)
*深音*(みおと)(プロフ) - すっっごい好きです…(語彙力皆無)更新頑張ってください! (2021年8月18日 0時) (レス) id: 2e41216803 (このIDを非表示/違反報告)
オズ - テレタビーズ教さん» ありがとうございます!!これからも良いものが書けるように頑張ります!! (2021年8月4日 17時) (レス) id: 886aed0c44 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:オズ | 作成日時:2021年7月25日 18時