命をも盗む大怪盗 【文スト】

盗み_34 ページ35

.





貴方side



目隠しに手枷の生活をこれ程長く経験した者は居ないだろう


否、居たら怖いよね。



そんな事を考え始める程に暇と云う暇を牢の中で持て余した私には既に日が昇っているのか沈んでいるのかも分からなくなっていた。



＿＿＿其の時だった。





『 …………何だ、この音 』





昨日も一昨日もしなかった異様な音に違和感を覚え、畳に耳を当て音を探る。



………銃声、かな？


でも何だってこんな時に……



とてつもない胸騒ぎがした。



銃声は大きくなり、自動車が横転するような音や振動も増えてき始めた。



………なんか、ヤバくない？



音からして大規模なものだと云う事が分かる。


つまり………、





『 ポートマフィア、だけじゃない……



＿＿＿一般市民も巻き込まれてるんだ！ 』





拙いぞ、之は……


早く止めないと、膨大な死体が生産される…！！



拙い拙いと立ち上がろうとする

が、其れも手枷の先の鎖によって叶わぬ夢と成り。



……………。





『 ………困った 』





中島side



昨日の敵であった少女が赤髪を風に靡かせ、其の髪を片手で抑え乍ら僕に笑んだ。





「 ＿＿＿生きて、

そして何時か私を此処から連れ出して

待ってるから 」





「 分かった！ 」





絶対にヨコハマを守ってみせる！



Q の異能力が発動してから十数分、


僕が組合に捕まってから実に半刻後の事だった。


飛行船から飛び降り、虎の目で街を見渡す。


そこには、狂った人達から必死に本部拠点を守るポートマフィアの人達


そしてそこに紛れ込むAさん。



…………？





「 Aさん？？！！ 」





.

盗み_35→←盗み_33

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す