盗み_36 ページ37
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太宰side
一瞬見えた
敦君の落下地点の大体の検討をつけて其の方向へ歩いて行く。
黄昏時、
何時もなら静かに日が沈んでいく時間帯だ
狂った人々の中を何とかすり抜け、第二の目的へと向かう。
却説、彼はこの状況を如何するかな……
ポートマフィアの管轄区域の近くをグルリと見回す。
脱出したのならおそらくこの辺りに…
…………居た。
夕日に照らされ、風に靡く色艶の善い髪
何時も着している黒い襯衣に真っ白なベストは幾分か薄汚れ
紫紺の瞳には光を宿していて
誰が如何見ても彼は " 人命救助 " 成るものを其の身惜しまずにやり遂げている最中だった。
殺人を身に付けた人間は何かを守る時に必ず相手を殺すものだ
鏡花ちゃんのように。
私自身、彼__Aもそうすると思っていた
然し之は外れに終わるだろう
私は意識を一切傾かせず呼吸をするように通信機に語りかけた。
「 谷崎君、上から見たAの様子は如何だい? 」
上、ビルの上から覗く人影に向かって私は云った。
そう、第二の目的とは即ち
___ " 大怪盗 A の入社試験 " 。
《 今のところ狂人を気絶させるだけで洋式小刀は見えませン………すごい… 》
最後に聞こえた谷崎君の感嘆の声に思わず口角がつり上がる。
流石大怪盗、何時も予想を超えてくるね
軍警に一切の尻尾を掴ませずに宝石を盗んできたことだけはある。
其の柔軟かつ計算された行動に予測をするのにも苦労するだろうね。
前文の通りAはこの時点で誰一人殺さず、誰の犠牲もなく騒動を終わらせようとしているのだろう
正当防衛だと豪語し殺した方が楽だろうに。
なんて事を考えてたお陰で敦君の方に向かうのが思ったより遅くなったり、ならなかったり。
「 協力者です、太宰さん 」
銃撃から救助した敦君から出た言葉は傷だらけの身体で痛い、帰りたい等の腑抜けたものではなく
闘う意志のある言葉であった。
敦君の云いたい事は分かる
頭数に優れるポートマフィアとの協力を図りたいのだろう
このヨコハマを守る為に。
「 其の組織の名は、」
敦君の目を真っ直ぐに見据え、どれだけの信念かを其の目で捉える
自分を殺しに来た組織と本気で協力体制を築きたいのか
「 ポートマフィアです 」
彼の目は、実に真っ直ぐだった。
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オズ - dGAzIwL2bmd18Yxさん» うあ…嬉しすぎるお言葉……ありがとうございます!!!頑張りますね!!! (2022年7月13日 20時) (レス) id: 1d6204a61d (このIDを非表示/違反報告)
dGAzIwL2bmd18Yx(プロフ) - もう、やべぇ、、(文才が天才過ぎて語彙力が4にました)面白過ぎます‼︎続編の更新も楽しみに待ってます (2022年7月11日 1時) (レス) @page50 id: d1624c287f (このIDを非表示/違反報告)
オズ - *深音*(みおと)さん» ああああありがとうございます!!最終回まで頑張って書きますね!! (2021年8月18日 12時) (レス) id: bf4e4a8e9b (このIDを非表示/違反報告)
*深音*(みおと)(プロフ) - すっっごい好きです…(語彙力皆無)更新頑張ってください! (2021年8月18日 0時) (レス) id: 2e41216803 (このIDを非表示/違反報告)
オズ - テレタビーズ教さん» ありがとうございます!!これからも良いものが書けるように頑張ります!! (2021年8月4日 17時) (レス) id: 886aed0c44 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:オズ | 作成日時:2021年7月25日 18時