【ワールドトリガー】強くなりたい女の子の話-5round

疑い ページ4

鶴来「？ どうした、空閑？」

遊真が足を止めた先には鶴来が立っていた。
視線に気がついた鶴来は何食わぬ顔でこちらを向く。




空閑「つるぎ先輩は本当にランク戦を観にきたの？」




鶴来「……！」


はじめは遊真の質問の意味を理解していないようだった…いや、”理解していないふり”をしたのだ。
質問に対する答えは無い。
こちらの目線を気にしている様子は明らかに動揺していた。


それに気がついた遊真は率直に疑問を投げかけた。

空閑「あんた、本当につるぎ先輩なの？」



鶴来「…はははっ 何言ってんだ？ やっぱおもしれぇな、お前。質問を質問で返して悪いんだが、俺が鶴来じゃないなら誰だっていうんだ？」



空閑「さあ？ でも、あんたが嘘ついてんのはわかる。…あんたは嘘まみれだ」


遊真がそう答えると、苦笑いを浮かべてため息をついた。

鶴来「根拠がないんじゃこっちも反論のしようがないな」


遊真のサイドエフェクトは嘘を見抜く能力だ。だがそのことを知らない鶴来はハッタリだと自分に言い聞かせているに違いない。


鶴来「あいにく、俺が俺であることをを証明することはできない。」

空閑「あんた…つまんない嘘つくね。」



鶴来「つまんない嘘…ね。ま、実質そうなるんだろうな。そんでどうすんだ？上層部にでも訴えて解雇させんのか」

そう言った鶴来はいつの間にか落ち着きを取り戻していた。

空閑「いや、あんたの言うとおり、根拠がなければなんにも動かないよ。別にどうこう調べるつもりはないし、ただ疑問に思っただけ」


鶴来「それがいいと思うぜ…………”Aのためにも”今は穏便に済ませるべきだな」




空閑「！！ それってどういう意味？サラに何かしたの？」


鶴来「いや、何もしていない。もう話すことは無いよな？…またな、空閑」




空閑「待て…！」

遊真の呼び声も聞かずに鶴来は会場から出ていった。
追いかけようとすると背後から名前を呼ばれた。


三雲「空閑！探したぞ どこにいたんだ」

空閑「おぉ…オサムか」

支部で作戦を練っていた三雲が来ていた。
換装していない三雲の目の下には隈ができている。


三雲「今の…確かA先輩のチームの隊長だったな。何話していたんだ？」




『今は穏便に済ませるべきだな』

ふと、先ほどの鶴来の言葉が頭をよぎった。



空閑「いや…何もなかった」

雑魚→←＊登場人物紹介３

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す