一番にはなれない ２【💛】

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「僕、彼女と付き合うの、二回目なんよ」



千羅先生は穏やかな表情のまま、でも心の奥にしまい込んだ何かをそっと掬い上げるようにして、ゆっくりと話し始めた。

....でも、優しい語り口に反してその中身は衝撃的なものだった。


幼馴染だった彼女さんとは、中学の頃にも一度お付き合いしていたらしい。でも先生は、高校進学を機に彼女さんを振った。....でも、彼女さんは先生の事を諦めきれなくて、同窓会で告白して。先生は、約一年後にそれを受け入れ、それからは彼女に目一杯の愛情を注いだ。



「....注いできた、つもり、なんやろうなって。最近気が付いた」



先生がそう呟いたのとほぼ同時に、ゆっくりと車が止まる。
フロントガラスの先にはさっきまで見ていたイルミネーションの輝く街並みが、まるでミニチュアのように一望できた。この場所はどうやら穴場らしく、クリスマスなのにカップルどころか人ひとり居ない。普段ならそんなロマンチックな状況に心を躍らせていただろう。....でも、そんな夜景よりも私は先生の話に夢中だった。



「去年まで....転勤してくる前まで、半同棲、みたいな感じだったんよ。しょっちゅうデートしたり、花とか急にプレゼントしたり。多分、このままいけば、結婚....とか、するんやろうなぁとも思う。....でもこうやって遠距離になってな、気が付いたんよね。僕は多分、彼女が好きなんやなくて....あいつに『可哀想な事をしちゃったな』って、良い彼氏になる事で罪滅ぼししたいって、思ってるんやろなぁ、って....」



先生のその横顔は、いつの間にか哀しげな、苦しそうな。そんな、なんとも言えない表情になっていた。....多分私も、似たような顔をしていたんじゃないかと思う。
そんな空気感が嫌だったのか「外出てみる？」と私に笑いかけた千羅先生に頷いて、二人で車を出た。




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