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「嘘つき。
なんかあったんやろ」
“ずっと一緒におるんやもん、俺にはわかる”なんて言っちゃって。
その言い方にそんなに長い間一緒にいたんだと気づかされる。
やめてよ、そんな言い方。
『やめて、やめてよ、センラくんこそおかしいよ。
こんなに私に優しくしちゃってさ、でもセンラくんの好きな子は私じゃないもんね、だって、違うんだもん。
私じゃ、ないんだもん…』
怒ったような口調でそう言うと、センラくんの目にさっと動揺が走った。
それでも彼はめげずに、しっかりとこちらの目を見て言う。
「俺の話、聞いて」
強い声だった。
その言葉に、ぷちりと何かが切れる音がした。
聞きたくなかった。
『やだ、聞かない』
「聞いて」
『聞きたくない』
「ちゃうよ」
『私、センラくんのこと好きだもん。
好きなんだもん。
もう、応援なんて…できないよ』
“だから、お願い”とか細い声でつぶやく。
ああ、完全に嫌われた。
告白まがいのことを大声で叫んでしまうなんてほんとに恥ずかしい。
でも、こう言うしかなかった。
もっと頭のいい子なら他の方法を思いつくのかもしれないけど、私には何も思いつかなかった。
私から言ったのに泣きそうになってるなんて、ほんと惨め。
「ごめん、ほんまに、何も伝わってないことにビックリなんやけど……
いやいや、俺が女の子ふってまでここにきてるんやで?
君に会いにここまで。
もう、わかるやん?」
センラくんは頭を抑えて困惑したような声を出し続ける。
怒ったような声で、私の肩を揺さぶるけど、センラくんの言いたい意味なんて理解できない。
『な、なに…センラくんって、ほんとに変だよ!
言いたい意味ってなに!
はっきり言ってくれなきゃわかんないよ!!!
センラくんのばか、もっとちゃんとストレートに言ってよ!』
それだけ叫んで、勢いよく美術室を飛び出す。
「うおっ、いきなり飛び出したら危ないだろ。
っておい、廊下は走んな!」
ドアのそばにいたそらる先生の注意も無視して、廊下を爆走する。
とにかく、美術室から離れた場所へ。
廊下の角を曲がったところで、へたり込む。
『こんな、夢中になったのなんて、初めてだったのに……』
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弥生2nd@夢見月(プロフ) - 結月。さん» 返信遅れて申し訳ございません!!めちゃくちゃ嬉しいです……もしよかったらどんどんリクエストもお願いします! (5月13日 21時) (レス) id: 98422f84d7 (このIDを非表示/違反報告)
結月。(プロフ) - 初めまして、弥生様のお話を全て夢中になって読んでおりました…。凄く大好きなお話ばかりで、読んでいてとても幸せになりました;;素敵なお話を書いて下さってありがとうございます。『一般人シリーズ』もこちらの短編小説も大好きです。これから応援しております◎ (2023年5月2日 13時) (レス) id: 5fcf3e0281 (このIDを非表示/違反報告)
弥生2nd@夢見月(プロフ) - 紫陽花さん» 返信遅くなってすみません!!ぜひ書かせて頂きたいです!素敵な設定をありがとうございます! (2023年1月11日 0時) (レス) @page46 id: 98422f84d7 (このIDを非表示/違反報告)
紫陽花(プロフ) - urtさんとsrr先生が話してて、夢主の元カレの浮気(もしくはどこからが浮気なのか)について話してて、それをたまたま聞いた夢主がurtが浮気してる(もしくはしよう)と勘違いしてるシチュを見たいです。 (2022年11月20日 1時) (レス) @page39 id: a2f685055b (このIDを非表示/違反報告)
弥生2nd@夢見月(プロフ) - 未夜さん» めっっちゃ嬉しいですありがとうございます………個人的に坂田さんの話は満足の出来だったというかこの話を思いついてから「シリーズにしちゃおう!」となったのでそう言ってくださるとめちゃくちゃ励みになります… (2022年3月19日 0時) (レス) id: c09bebec20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:弥生2nd@夢見月 | 作成日時:2020年6月6日 23時