声優ですね (ページ21)

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pipipi...pipipi...pipipi...
ガチャッ

(...朝だ、起きないと)

目覚まし時計の音で起きた私は、
眠い目を擦りながら支度を始めた。

昨日は荷物を整理したり、周囲の建物を
散策したら、少し買い出しをしたりして
あっという間に1日が終わってしまった。

顔を洗って歯を磨き、パンを1枚かじった。
ここまでは普段通りだが、男の子の服を着て
短くなった髪を梳かしていると、
虚ろな頭から一気に現実へ引き戻される。

(今日から本格的に始まるんだな..
頑張ろう、お兄ちゃんのために)

もう一度決心を固め、マンションを出た。

最寄りの駅からアクセルワンがある最寄りの駅まで
乗り換えなしで約20分。
分かりやすい所で本当に良かったと
1人胸を撫で下ろしながら、電車に乗り込んだ。

電車に乗り込んだ私は、見覚えのある人を見つけた。

(...立..花さん？)

初日から秘密を知られてしまったその人は、
出入り口付近で小説を立ち読みしていた。

(挨拶には厳しそうだったから...行った方がいいよね？)

私は意を決して立花さんがいる出入り口へ歩いて行った。

『...立花さん、おはようございます』

立花「....おはよ」

(よかった、返事はしてくれた(・_・;))

『今日から初日なので、よろしくお願いします』

立花「....」

『な、何読んでるんですか？私も本が好きｄ、立花「お前には関係ない」

(....ですよね)

話を広げようとしたが、逆に地雷を踏んでしまったようだ。

《次は～○○、○○です》

電車はあっという間に次の駅に着いた。

プシューーーー
ガタンッ

『立花さん、私...』

私、絶対立花さんに認めてもらえるよう
頑張りますと言おうとしたが、

『あっっ！！』

立花「うわっ！」

いわゆる通勤ラッシュというものに遭遇してしまい
一瞬酸欠になりかけた。

目がグルグルと回る中、

？「...い！...おい！」

誰かに呼ばれているのが聞こえて、
目を開けた。

立花「...目は開けてろ」

『っ///』

目を開けるとすぐそこに立花さんの顔があった。
私の背中には出入り口の扉、目の前の立花さんは
私の顔の横に両手をつき、自分の身体を支えているようだった。

(あ、何かデジャヴ...)

なんてことを考えていると

立花「...俺も我慢するから、お前も我慢しろ」

『は、はい』

事務所最寄駅まで、約15分。
この15分がとてつもなく長く感じたのは
言うまでもなかった。