No.77 分かってくれるはず ページ30
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あたしたちは決勝戦前日まで泥のフィールドで特訓をした
明日なんだ。もう決勝戦は…
絶対勝つ。あの家から出るために
でも、その前に…
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ー稲妻総合病院ー
あたしは稲妻総合病院に来ていた
もちろん目的は豪炎寺くんのお父さん
勝也さんと話をするため
勝也さんなら分かってくれるはず
あたしのお父さんとは違うんだから
階段を上がっていく
コツコツとあたしの歩く音が病院内に響く
「豪炎寺からサッカーを取り上げないでください！！！」
な、なんだ！？
あたしの足音よりもデカい声が階段まで響く
でもこの声って
階段のちょうど曲がるところから顔を覗かせる
頭を深く、勝也さんに下げていた円堂くんがいた
あ、やっぱ円堂くんだった
円堂くんも知ってたんだな…
勝也「急いでいるので失礼する」
円堂「！！」
そう言って円堂くんの横を通り過ぎる勝也さん
A「待って！！！」
あたしは階段を一段とばしで上がっていき、
院長室の前へ両手を広げ立ちふさがった
円堂「A！？」
A「勝也さん、覚えてますか？
あたし、立花Aです」
勝也「…急いでいるんだ、どいてくれないか」
A「い、急いで話すので聞いてください！！」
あたしは両手を広げるのをやめて、
ズボンの裾を握った
A「…お願いします！！
豪炎寺くんから、サッカーを奪わないでください！！」
あたしは深く頭を下げる
A「豪炎寺くんは、サッカーが大好きなんです！！
それはあたしたちよりも勝也さんが一番分かっているはずでしょう？
なのに、なんでですか…っ勝也さん…」
次第に声が小さくなっていく
どうしよう。思い切りこんなこと言っちゃったけど…
やばい、なんか怖くなってきた
冷や汗をかく
勝也「なぜだ…？」
「え？」とあたしは下げていた頭を上げる
勝也「なぜ君たちは、そこまでサッカーにこだわるんだ。
サッカーなど、ただの遊びだ。
サッカーでなにができる？
人が救えるわけじゃないんだぞ」
A「！」
…そうか……
豪炎寺くんのお母さん、病気で亡くなっちゃったんだ…
きっと、自分は医者なのにそれを救えなかったのが本当に辛いんだ
＿＿
『…でも奥様が亡くなられてからは、旦那様は人が変わられたようになってしまい…』
＿＿
…確かに、勝也さんは変わってしまった
でも、分かってくれるはず
いや、分かってくれなきゃ
あたしが困るんだ
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作者名：るぅ | 作成日時：2017年9月26日 23時
