激推ししてます、太宰さん！2

太宰さんと処刑待ち。 ページ16

太｢何って見たままだよ。捕まって処刑待ち。｣

中｢あの太宰が不運と過怠で掴まる筈がねえ。そんな愚図なら俺がとっくに殺してる。｣


中也さんから殺気が溢れる。ここまで色々な犯罪者と会う機会があったが、これ程までの殺気は初めて見た。
こちらに中也さんが近付き、私の目線に合わせるようにしゃがむ。
クイッと顎を持ち上げられる。

中｢手前が言わねえならAに聞いてみるか？素直だもんな、お前。｣

この人はこんなにも人を恐怖させるものを持っていただろうか。私に付いている手錠と50糎程の鎖が触れ合い、カチカチと音を立てる。


中｢…そんなに怖がんなよ。｣

太｢ちょっと。Aちゃん震えてる。触らないで。名前呼ばないで。本当やめて。
考え過ぎだよ、心配性は禿げるよ？…まさか……｣

中｢ハゲ隠しじゃねえぞ。…一応言っとくが。｣

私から離れ、中也さんはすっと帽子を外す。
また太宰さんの前に歩みを進める。


中｢俺が態々ここに来たのは手前と漫談する為じゃねぇ。｣

太｢じゃ何しに来たの。Aちゃんとの処刑までの最後の時間を邪魔してまで。｣

中｢…ならちょうどいい。嫌がらせだよ。

あの頃の手前の嫌がらせは芸術的だった。敵味方問わずさんざ弄ばれたもんだ。だが…｣


ドゴッという地下室に響く轟音が鼓膜を襲う。つい目を閉じてしまうほどに。

中｢そう言うのは大抵後で十倍で返される。｣

目をそっと開けてそちらを見る。太宰さんがもたれかかっていた壁には大きなヒビが入っている。そして、太宰さんの鎖が切れている。


中｢手前が何を企んでるか知らねえが、これで計画は崩れたぜ。

俺と戦え、太宰。｣

太宰さんは王子様。→←太宰さんの元相棒。

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