箒星 【Sho Sakurai】 第１章

10. ４３点 ページ10

ダメだよ、皆。
騙されちゃ。

アイドルなんて。
一番結婚から遠い
人種なんだから。

そりゃルックスは
申し分ないだろうけど。
人気商売なんて
不安定すぎる職業で。

なまじっかチヤホヤされてることに
慣れてるから
プライドばっか高くて。
自意識過剰で。

夢だけで人は生きてなんかいけない。

大切なのは”経済力”。
そう、何よりも忘れちゃいけないこと。




アイドルじゃなかったら。
ルックスと言い経歴と言い
久しぶりのストライクゾーンだったけど。

訂正。４３点。
目の保養にとどめておこう。





騒ぐ皆をよそに。少し落ちつこうと
ワインを一口飲んだら。

その瞬間。女性たちに質問攻めに合い
困った顔をしてる櫻井さんと目が合った。


次の瞬間。いつもやるように。
控え目に、でもまっすぐに
櫻井さんの瞳を見つめながら
にっこりと営業スマイルを向けたら。

あわてて私から目をそらした櫻井さん。





...少し赤い？ 効いちゃった？
....なわけないか(苦笑)

女の子なんてよりどりみどりの
人気アイドルさんに。
こんな小細工
通用するわけないよね(苦笑)


さ。食べよ、食べよ。



盛り上げくんのお友達を、
と思ってたけど。

お友達がアイドル、なら。
たいした縁は望めそうにないな。うん。

ならせめて。

おいしいものたっぷり食べて
今夜は帰ろう。






１０分もすると。

最初のざわめきや興奮は
すっかり落ち着き。
またなごやかな雰囲気に戻っていた。

それくらいの頃から
しつこくアプローチをしてくる
NY帰りを適当にかわしながら。

頭の中では来週末の
弁護士合コンの計画を
めぐらせていた。

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