箒星 【Sho Sakurai】 第１章

47. 遭遇 ＜S side＞ ページ47

予定してた取材が
急きょキャンセルになり。
現地解散、他のメンバーも
それぞれ散って。

突然ぽっかりと空いた午後。






丸々休みなんてほんと久しぶり。
車で来てるから。
遠くまで走らせてみようかな。



鼻歌交じりにハンドル握って。
ビルを出て数ブロック進んでたその時。

視界に入ってきた見慣れた後ろ姿。







....A？






ゆっくりと追い越しながら確認。

間違いない。Aだ。



こんなところで何してんの？
職場からも家からも離れてんのに。

デートの待ち合わせ、とか？

.....じゃねぇな。
んな感じじゃなくて。


ジーンズに白いふわっとしたチュニック。
シュシュで後ろに結わえた髪。

いたってラフな格好。


でも。手には小さな花束と。
お菓子と思われる紙袋。
反対の手には小さなボストンバック。




......なんだ.....？！





いったんは。
Aの横を通り過ぎるも。
ちょうど赤になった信号。


ブレーキを踏んで。
次の瞬間、もう窓を開けて
呼び止めてた。




「Aっ！」

「...え、あっ、翔っ？！」




予期してなかっただろう俺の出現に。
予想以上にびっくりしているA。



声かけてまずかった？

でもすぐ我に返って
Aは俺の車に駆け寄ってきた。



「ど、どうしたの？こんなところで？」

「あぁ、仕事。っつっても
急に中止になってさ。
それよりAこそ
どうしたんだよ、こんなところで？」

「あ....ん...」



Aには珍しく歯切れの悪い返答。

俺に説明しようか否か迷ってるのが
ひしひしと感じ取れる。




....A....？




その時。青に変わった信号。

出ようかどうか躊躇してたら。
すかさず後ろから
派手に鳴らされたクラクション。


....くそっ....っ



その瞬間。Aをうながしてた。




「乗れよ」

「えっ？！ あ、でもっ」

「いーからっ。
後ろうるせぇし★早くっ」

「あ、う、うんっ」




まだ迷いながらも。
すばやく助手席に
乗り込んできたA。

と同時に発進させた車。

走り出した後も
まだこの展開にAは
とまどっているよう。



.....そういや。俺の車に
Aの乗せんの初めてだな。

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