箒星 【Sho Sakurai】 第１章

36. 乙な出逢い？ ＜S side＞ ページ36

何やってんだろ、俺(苦笑)


会って３回目の、俺の常識からは
ありえねぇような女性の家で。
椅子から落ちて。
言い合いして。電球割って。


ああいえばこういう。
やり合ってる時は
心底”コノヤロウ！”って思うし。
すげぇ腹立たしいんだけど。


なんか。スカッとして。
妙に小気味いいんだ。




俺のことちっとも特別視しねぇで。
言いたいことズバズバ
口にしてるくせに。


こうして本気で
心配してくれもして。





自分でも訳わかんねぇけど。

最初抱いていた
嫌悪感みてぇなものは。
不思議といつのまにか
どっか行っちまってた。

あれ、お互い敬語も
取れてんじゃん(笑)




「いや、ごめん。クックッ(笑)
なんかさ、女の人と
こんな風にやり合うのって、
俺、小学校以来だわ(笑)」




突然笑いだして。
なおも笑いの止まらない俺を。
びっくりした瞳で
見つめていた北田さんも。




「...わっ、私だってっ!
　 ...櫻井さんって。変な人...」

「君も相当変わってると
思うけど？(笑)」

「櫻井さんには負けますーっ！
ふんだっ！」

「あははは(^^)」




いつのまにか。
つられるように苦笑していて。
気がついた時には。
一緒にケラケラ笑い合ってた。









何かが。動き始めた感覚。



それが何なのかは。
まだこの時の俺には
ちっともわかってなかったけど。



史上最悪な出逢いも。
なかなか乙なもんだったりすんだな。






そんな事考えながら。

しばらくそうして
２人で笑ってたんだ。

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