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涼太が口を開く。
それは中学の頃だ。
「Aっちはこんな格好してるけど、本当はずっと、女の子でいたかったって、俺たちに打ち明けてくれたんスよ」
「…だから、ボクたちでAさんを女の子にしようと」
私は遠い目をする。
あの頃の私は、多分どうかしていた。
「毎週決まった曜日に俺たちがAっちにスキンシップを取ることになったんすよ。それも、女の子を意識出来るような」
今思えば、とてもおかしな話だった。
毎日違う人とキスやハグその他諸々のスキンシップ。
それでも私は、そのスキンシップのおかげで女の子でいられたわけだが。
「まぁ、そのルーティンも崩れて、みんな曜日関係なくAっちにスキンシップしまくりっスけどね」
「黄瀬くん、いい加減にAさんから離れてくれませんか?」
テツヤはムッとして涼太を見る。
「いくら黒子っちでも、Aっちからは離れないっスよ」
二人の間に火花が見える気がする。
中学の頃からテツヤのヤキモチ的なのはすごく可愛い。キュンキュンする。撫で回したい。
「Aさん、何ニヤニヤしてるんですか?」
「なんでもないよ」
「なんでもない顔には見えないんですが」
テツヤは怪訝そうな顔をしている。
「えっと、つまり、白戸くんが女の子で、女の子でいるために黒子や黄瀬がスキンシップをとってて、中学の頃の名残りで今もしちゃうってこと?」
小金井先輩は首を傾げた。
「そういう事ですね。なんか紛らわしい感じになってすみませんでした…」
「いや、別にいいんだけどさ!」
私が頭を下げると先輩たちはあたふたしていた。
そんな中、火神くんがフリーズしている。
「火神くん…?」
私が声をかけると火神くんはハッと我に帰り私たちをその目で捕える。
「女…?嘘だろ!?」
「いや、だから…」
火神くんがワンテンポ遅れている。
涼太が呆れ気味に呟いていた。
「ごめんな、騙してて」
「そういう事を言ってんじゃ…!」
火神くんは何かグッと堪えた。
私が首を傾げるとゆっくり口を開く。
「いきなり女って、どう接していいかわかんねーだろ」
ブスっとした顔で目を逸らす火神くんに吹き出してしまう。可愛いな。
「火神くん見かけによらないな!」
「うるせーよ!」
笑っていると火神くんに怒られてしまった。
なんだ、案外みんな受け入れてくれるものなんだ。
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二次元依存症 - 更新お願いします!頑張ってください! (2020年6月9日 9時) (レス) id: 6c212b079c (このIDを非表示/違反報告)
カナタ - 今吉先輩ドSすぎる////高尾が優しくてキュンときました。伊月先輩とむっくんが可愛い!更新頑張ってください! (2020年5月13日 20時) (レス) id: fc99185244 (このIDを非表示/違反報告)
蓮見敬人命です。(プロフ) - 今吉様が、、。予想以上に腹黒!でも素敵なお話です (2020年4月23日 18時) (レス) id: d9754627b9 (このIDを非表示/違反報告)
御守(プロフ) - 零さん» コメントありがとうございます!今吉さんは徹底的に行くだろうなと思って書きました笑 (2020年4月23日 8時) (レス) id: 1f319702a2 (このIDを非表示/違反報告)
零 - 今吉さんがドSすぎて笑いましたw (2020年4月19日 4時) (レス) id: 618048078d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:御守 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/nekyomu
作成日時:2020年4月13日 10時