やっぱりリア恋枠【まふまふ】

リア恋 054 ページ4

貴方 side





天月さんと解散し、只今の時刻は午後4時。







夕飯には少し早い気もするし、かといって家に帰ったら速攻寝るコース。
せっかくのオフだからデパートにでも行こうか。








予定を頭で立てながら、普段なら使うタクシーにも乗らず、何となく歩いていた。









「 …あいたい、なぁ 」






ふと出た本音に、一番驚いているのは自分で。
だけどこんなこと彼に言えるはずがないのは、そう思っているのは私だけかもしれないから。


もうすでに邪魔でしかない私の存在が、さらに彼の重荷になってしまうのは避けたかった。









ここ数日、連絡をちょくちょく取ることはあっても、お互い「会おう」とは言わなかった。

会いたくないわけじゃなくて、会いたいから、会えない。







恋人になると途端に難しくなる身の振り方に、正直私は戸惑っていて、初めてだからなのもあるけど…









あのまふまふさんだと思ってしまうと、どうしてもダメになる。

緊張しすぎてすぐ泣いてしまうから会ったらボロが出そうだ。









未だに恋人だという自覚がないこの脳。
彼のことを思い浮かべても、夢オチという結末にどうしても辿り着く。


好きだから触れたいのも、好きだから会えないのも一緒。







相手を思って、遠慮して、そうやってすれ違って。






最後に彼から送られてきた、「おやすみ」の文字の羅列にすら泣いてしまいそうな。







「 いつから私は、」






いつから私は、こんなに感情的になったんだ。
昔なら気持ちより現実を優先できていた。

それが彼と付き合った途端、タガが外れたみたいに崩れてく。







アリスにも雰囲気が柔らかくなったって言われたし。二葉さんは分からないって顔してたけど。








さっきも成瀬に縋って、はしたない。
何をしてるんだわたしは。

心を許してしまったら、甘えが生じて普段の自分でいられなくなってしまうのが悪い癖。







真冬さんにはあんなことできない。
会いたい、も好き、も言えないこの関係は恋人と言えるのかすら怪しい。


忙しいのは十分分かってる。
それに、私と会う時間があったら休んでほしいくらいだ。








Twitterの通知がきて、彼のツイートをじっと見る。

ふわふわの子猫を可愛がるツイートだった。








「 ……猫に嫉妬って、あほか 」







苦笑しつつ、これが本音なのかとも思った。

彼の傍に居られる人なら今は誰だって羨ましい。

リア恋 055→←リア恋 053

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す