きみに本当のこと教えてあげるよ (ページ4)

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４「気にいらない」ジェノページ4

目の前に居るこの男が何を言いたいのかわからなかった。
いつもそうだ。飄々として見えて本当は腹の底で何を考えているかわからない。だからこそ今のとこ１番にマークしている。
「幼馴染」だって？そんなこと前から知っていた。

「A、大変だろ。アイツ我儘だから」

「そんなことないよ。素直ですごくいい子だよ」

そうさ。俺が昔から描いていた理想に１から１０まで当てはまる、すごく【良い子】
少し疑り深いのが玉に瑕(きず)だけど、それをのぞけば完璧だった。

可愛い可愛い俺のA。野生動物みたいな男たちが気がつく前に自分のものに出来て良かった。
丁寧にアイロンのかかった白いYシャツも、他のチャラチャラした女と違って１度もブリーチしたことのない艶のある黒髪も、全てが素晴らしい。Aに比べたら他の女なんて虫けらと同等だ。いや、それ以下かもしれない。
そしてそんなAにまとわりつくこの男も奴等と一緒だ。

「そうか、それならいいんだよ」

前、Aはこの男の事を楽しそうに話していた。
昔遊園地に行ったとか、小学校のかけっこで１位２位を争ったとか。嬉しそうに昔の話をする横顔はそれはもう可愛かったけれど、話題が男というのが気に入らなかった。
大切にしているであろうそのアルバムのページ、破り捨ててやろうかと思うくらいに。

「あいつのこと、よろしくな」

「うん」

知ってるように話すコイツが気に入らない。
【幼馴染】という切っても切れない関係の先にコイツがいるのが気に入らない。

Aが戻ってくるまで、俺の頭の中はひとつのことでいっぱいだった。