5「蝶」ジェノ ページ5
一目見た瞬間、「欲しい」と思った。
今まで見てきた中で１番綺麗な瞳はまるでガラス細工のように繊細で、視線が交わった瞬間に目の前がピカリと光るようだった。
どうしても欲しいと思った。どうにもできないこの感情を今更どこかへ投げ捨てるなんてできない。
ああ、こんな予定じゃなかったのに。
僕はあの春の日、まんまと恋に落ちてしまった。
隣町の中学出身でソフトテニス部。特技は幼い頃から習っているピアノで趣味は読書で好きなジャンルは女の子らしく恋愛もの。僕と同じクラスのヘチャンと幼馴染。
ちょっと調べただけでこれだけわかる。他人には話さない事でも、僕が少し聞けば女の子たちはペラペラ話してくれた。こういう時、顔が良いことに感謝する。
「ジェノ見たか？隣のクラスのAちゃん！」
「ああ、見たよ」
「すっげぇ可愛かったな！」
ジェミンはにこにこ笑ないながらそう言った。自分だって相当モテるのに、理想が高すぎて今まで彼女はいたことがない。きっとあの子こそがそんなジェミンのお眼鏡に叶う子であろうが、そうはさせまい。
「まずはお友達から」なんて遠回りなこと、今回はしない。さっさと知っておくべきことを調べて、１回で自分のものにする。
何回も何回も段階を踏んでいく余裕なんてなかった。
そしてあの日告白した。強そうに見えて押しに弱いことは調べていくうちにわかっていた情報の１つ。強く言えば必ず落ちる。そう確信していた。
結果は的中。彼女は僕のものになった。
今側に居る彼女を見ると心が何とも言えない幸せでいっぱいになる。
この美しい生物は僕のもの。誰にも渡さない。
A、僕が君を幸せにしてあげる。
世界で１番美しい君を僕が幸せにしてあげるよ。
(美しい蝶が辿る末路は、その蜘蛛しか知らない)
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作者名：My candy boy | 作成日時：2017年10月21日 0時
