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会場に入ると、多くの人は席に着いていて、
腰を低くしながらふたりで慌てて席を探す。
．
「なんで、俺の方が早いんよ？笑」
章ちゃんが笑いながら手招きしてくれたからなんとか席に着けたけど、
6人がけのテーブルには、ひとつだけ空いた席があって、ついついその一点を見つめてしまう。
なんか、心がフワフワして、
頭が、混乱してる。
何度かヨコと章ちゃんが心配して話しかけてくれたけど、曖昧に笑うことしかできなかった。
．
しばらくして、司会の女の人のアナウンスが入って、照明が落ちる。
無数の拍手の中、幸せそうに笑う大学時代の友人が綺麗な純白のドレスに身を纏って登場したのと同時に、
いつの間にかに会場に入ってた亮がそーっと
私の真ん前の空いていた席に座った。
「亮じゃん！」
「うわー、久しぶりー！」
「老けたなー自分ら笑」
コソコソと楽しそうに隣に座る男の子たちと話してて、胸がキュウと締め付けられる。
本当に、帰って来てたんだ…。
さっきのは幻でもなんでもなかったんだ…。
そう思うと、勝手に涙が一粒だけ溢れる。
照明が落ちてるし、みんな新郎新婦に目線がいってるから、コッソリとバレないように
さっき、ヨコに貸してもらったハンカチで溢れた涙を誤魔化した。
．
．
「A、来てくれてありがとう！」
「当たり前！サクラと佐藤くんの結婚式に私が来ないで誰が来るのよ？」
「ふふっ。大好き〜〜♡」
華奢な腕でギュっと抱き締められる。
新婦のサクラは、大学時代に仲よかった唯一の女友達。
他に友達がいなかったわけではないかもしれないけど、胸を張って友達だと言えるのはサクラだけ。
「お幸せにね！」
そう言いながらギューと抱き締め返すと、嬉しそうに可愛く笑う。
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作者名：Ma
| 作成日時：2017年12月12日 19時
