占いツクール
検索窓
今日:50 hit、昨日:105 hit、合計:14,032 hit

廿 赫怒 ページ21

「なぜ女性に手を出したのか理解できない」

穏やかな声からは、ふつふつと煮えたぎるような怒りが見え隠れする。
そんな杏寿郎に気付いているのかいないのか、鬼は薄紅梅色の髪を揺らして、話の邪魔になると思ったからだ、と悪びれた様子など微塵もない。

「彼女に触るな」

杏寿郎は、鬼からAを隠すように前に出る。
相手は上弦の参。一筋縄ではいかないことなど、杏寿郎は百も承知だ。勝てるかどうかも怪しい。

「お前も鬼にならないか?」
「ならない」

名案だ、とばかりの笑みで手を差し伸べる鬼の誘いを、杏寿郎は一瞬の煩悶も見せずに一蹴する。

「そんな弱者を守って何になる?鬼になれ。そうすれば、永遠に鍛錬できる。強くなれる」

そんな杏寿郎に、鬼は気にした様子も見せずに、強さと鬼の能力、永遠の命について熱心に説く。
この魅力に気付けと言わんばかりに。

「老いることも死ぬことも、人という儚い命の美しさだ。それに、彼女たちは弱くない。強さは、力だけに指す言葉じゃない」

侮辱するな、と吐き捨てる杏寿郎は、刀を握る。
勧誘は無理だと悟ったのか、鬼が不敵な笑みを浮かべ、拳を突き出すように構えると、足元になにかの円陣が描かれた。

「鬼にならないなら、死ね!」

2人が消えた。そう表現するのが最も適切だろう。
並みの視力では、彼らの動きはほとんど見えない。見えたとしても、体がついていかない。技と技、力と力のぶつかり合いは、地面を伝って大きく揺れ、遠くにいたはずの伊之助たちですら、その異変に気が付いた。
だが、伊之助たちが駆けつけたとて、彼らと同じ土俵には上がれない。
それほどまでに、杏寿郎と鬼は強力だった。
最も近くにいる2人の男女も、1人は重傷を負い、もう1人は刀など握ったこともないような一般人。
彼らに何が出来ると言えようか。
誰が、彼らを責めれようか。己が無力さに歯を食いしばり、爪が肉を食い込み肉を抉るほど、拳を握りしめる彼らを、槍のような言葉で責めれようか。
悔しくないわけがない。苦しくないわけがない。
目の前で傷ついていく大切な人に、側で生きたいと願った人に、手を差し伸べられない彼女が、何を思うのかなど、想像に難くない。
片目は潰れ、骨も折れ、内臓も傷つき、それでも守るべきもののために戦う。
このまま戦い続ければ、彼は死ぬ。彼は、傷などすぐに癒える鬼とは違うのだから。
鬼になれ、と叫びながら、彼にトドメを刺そうとする。だがそのとき、鬼はAと目が合った。

廿壱 細胞→←拾玖 鬼



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (38 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
49人がお気に入り
設定キーワード:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , 鍔職人
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

squid(プロフ) - 愛羅さん» 返信が遅れてすみません!感動系は少々苦手なのですが、そのように思っていただけたなら幸いです!完読ありがとうございます! (7月1日 6時) (レス) id: bf945fda6a (このIDを非表示/違反報告)
愛羅(プロフ) - 感動しました!涙が止まりません…( ; ; ) (7月1日 0時) (レス) id: 83407bc1eb (このIDを非表示/違反報告)
squid(プロフ) - ぶるこ。さん» コメントありがとうございます!素敵な夢だなんてとんでもないです。完読していただきありがとうございます。 (6月17日 7時) (レス) id: bf945fda6a (このIDを非表示/違反報告)
ぶるこ。 - 涙ぼろぼろです。素敵な夢をありがとうございます…。 (6月17日 2時) (レス) id: 48aba5c9ee (このIDを非表示/違反報告)
squid(プロフ) - キノさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです。 (6月14日 15時) (レス) id: bf945fda6a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:squid | 作成日時:2019年5月11日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。