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少女漫画は他所でやれ(承太郎) ページ1

海と空と森が溶け合ったら、そんな色になるのか。よく観察すれば上睫毛が長い。そして下睫毛も。屈強な男。目の前の空条承太郎という男は、息をするだけで他人のコンプレックスを刺激する部類の人間だと思う。

「好きだ」
「揶揄うな」
「違うね。俺は至って大真面目だぜ」

語尾を強めた。私は悔しいのだ。英国貴族の血筋が流れ、父はミュージシャンで祖父は不動産王。恵まれに恵まれ、一周回って腐りそうな温室で育った坊々からの告白。畏怖も羨望も全てを受け入れ魅力に変えるような、平たく表現するなら特別な人間。全校の女子が夢に見たシチュエーション。放課後の体育館裏。きっと卒倒することだろう。だけど、私にとってはこんな人気のない場所を態々指定して、不良というレッテルを前面に逃げ場を無くすような野郎でしかない。今も首が痛い、それだけしか考えていない。嗚呼、駄目。もう適当に理由を付けてこの場を去ろう。

「わたし、どちらかと言えば花京院くんなんで」

本当に適当に、この男の親友だと小耳に挟んだ名前を使わせてもらう。ぴくりと反応した凛々しい眉毛。明らかに動揺した一瞬。逃すものか。私は走り去った。明日、その花京院くんとやらの命があるかは知らないが、ぼんやりと頭に浮かんだ緑の後ろ姿に、平謝りをするしかなかった。

兎に角、彼女が良い子供を産むことは確かだ。(メローネ)→



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作者名:かめのこ | 作成日時:2019年3月9日 2時

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