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センラside
「えらい、若くなったなぁ……」
もっと言う言葉は他にあったはずなのに、そんな言葉が零れた。すると、そんな事言われると思っていなかったのか、彼女は驚いたように目を丸くした後、ふんわりと優しく笑った。
『センラこそ、老けたね』
「うるさいわ」
なんて、2人で笑い合う。そしたら何だか涙が溢れてきてしまって。
『ちょっと、泣かないでよセンラ』
焦ったように彼女はそう言った。
「おじさんは涙脆いんやから、しゃーないわ」
そう言って目元を拭ってから笑うと彼女は困ったように笑って口を開いた。
『そっかぁ、センラも結構な歳だよね。何歳か知らないけど』
と、悲しそうな顔をするA。その表情の意味は分からない。
「今年で27歳」
『え?もうそんなに?────私、15歳』
そう言いながら彼女はきている制服を見せびらかすようスカートの裾を掴んで上げて見せた。
「よかったなぁ。念願のブレザー」
『うん、やっと着れた』
そういえば、ブレザーが着たいって前騒いでたんやっけ。と、思い出して口にした言葉に、やけに大人びた笑みでそう返すA。他の子よりも12年も多く生きているから、精神的にも落ち着いているんだろうな、と思って彼女を見つめる。
「それに、ほんと若いなぁ」
無意識的に呟くと、彼女は小さく笑った。
『でも、死んじゃった時よりも成長してるからね?3歳くらいだけど』
「そうやな。でも、もう高校生やろ?」
『そう。JKだよ、JK。そして念願のブレザー!』
ひらり、そのチェックの赤いスカートを揺らしてそういった彼女に、小さく笑みを向ける。嗚呼、12歳かぁ。と少し感傷に浸る。
『どうしたの?センラ』
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