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何度スライドしても彼女のアカウントが表示されることはなかった。何度もスライドする勢いのまま彼女のアカウントを開いてしまおうかと思ったけれどそれはやりすぎだと思いスマホを机の上に置いてイスの背もたれに仰け反った。
「反応無いか〜」
そんな言葉と共に伸びをすると膝の上のAがぴゃっと飛び上がった。真ん丸な目がこちらを見つめてきた。文句言いたげな顔にごめんごめん、と謝ると納得したのかにゃむにゃむ言いながらまたぐるぐると膝の上を周り、すとんと腰を下ろす。
「俺の何がダメやったんやろうな。なー?Aー」
誰かに話したいけれど、こんなこと放送で話す訳には行かなくて、そっと目の前の彼女に言葉を投げかけると目を瞑ったままうにゃっと返事を零す。
「可愛いなぁ」
そんな姿に思わず笑みが零れてしまった。それを誤魔化すように首元に手を当てるとそっと顔を突き出されてまだ撫でてもいないのにゴロゴロと喉が鳴りだす。
「ほんと可愛いなぁ、猫飼い始めてよかったわ……」
溢れ出たそんな言葉に反応するように肉球を見せつけるようにきゅるんとポーズして見せるAは最強に可愛い。
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