黄色い足枷【snr】

喧嘩 ページ27

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売り言葉に買い言葉、それによってただの言い合いは喧嘩へと変わった。



｢もういい！センラなんて知らない！｣



嫌いだと、嘘でも言ってやることができなかった自分に泣きたくなって思わず外へと飛び出した。ひやりとした風が冷たくて、上着を引っ掴んでくるべきだったと後悔した。あとついでにお金でも持ってくれば電車に乗って彼の来れないところまで行けたかもしれないのに。


｢……あほらし、｣


遠くに行ったところで宛なんてないのに、追いかけてきてくれるかもわからないのに。というか現に今来てくれてないのに。


｢このまま……別れちゃうのかな、｣


涙声でそんな言葉を零してしまうとじわじわと実感がせりあがってくる。やだ、別れるなんて。


｢別れるわけ、ないやろっ……！｣


そんな言葉と掴まれた手に驚いて振り返ると息を切らした彼が居た。


｢逃げ足早すぎやろ、俺の歳もうちょい考えてくれへん？｣


肩で息をする彼に何度も瞬きを繰り返す。てっきり見放されたかと思った。あまりにも私が子供だから、もういいのかと思った。


｢……センラぁ｣

｢わっ、ちょ......!A！？｣


泣いてるのを見られたくなくて彼にぎゅっと飛びつくと困惑の声が零れ落ちてくる。するとぽん、と控えめに頭に手を乗せられた。


｢ごめんな、ちょっとムキになって言い過ぎたわ｣


私が悪いのに、私から謝らなきゃいけないのにいつもそうやって自分から謝ってくれるところ、好きだけど嫌い。


｢そろそろ帰らへん？｣


な？と促すように言われ、ぐちゃぐちゃの顔を上げて彼を睨みつけた。


｢なんで私が悪いのにセンラが謝っちゃうの｣


そういうとこ嫌い、という言葉は口から離れてくれなくて変わりに子供扱い？と不満を零すと彼は目を瞬かせた。

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