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坂田side
──────気まずい。
さっきから会話がまるで続かない。質問にYESかNOで返ってきてそっか、で終わってしまう。なにか続く話題を、と思っていた時にAちゃんが口を開いた。
『あの、坂田さん』
突然、名前を呼ばれ、彼女の方に顔を向けた。
『浦島坂田船でいる時のうらたさんってどんな感じですか?───あの、私、あんまりうらたさんの友達とか知らなくて、物珍しいと言うかなんというか』
そう言って、照れくさそうに笑う彼女。その笑い方に少しうらさんの面影を感じながら笑みを零し、口を開いた。
「んー、優しくて頼れる人かな。けどたまに子供っぽい。結構しっかりしてるのに、結構寂しがり屋だったりするし」
そう言うと、彼女は驚いたように目を見開いた。
『えっ、うらたさん寂しがり屋なんですか。私の知ってるうらたさんはなんでもできて大人びてて、結構過保護なのに』
カウコンも危ないから来るなって言うんですよ?酷くないですか?と、おどけて見せる彼女。嗚呼、やっぱり好きな人と一緒にいる時と俺らと一緒にいる時は違うんやなぁ、とぼんやり思いながら言葉を零した。
「Aちゃんってさ、うらさんのこと好きなん?」
『えっ』
飲んでいたミルクティーが気道に入ってしまったようで咳き込む彼女。だんだんと顔が赤く染まっていき、恥ずかしいのか下を向いた。
『いやその……』
「大丈夫やって。うらさんには言わないから」
口篭る彼女にそんな言葉をかけると、渋々と言った感じでゆっくりと口を開いた彼女。
『好き、です。うらたさんの笑顔とか声とか全部、好きです』
「へぇ、ご丁寧に好きなところまでどうも」
俺がそう言うと治まっていたその頬も、また赤く染まっていく。そして、何か言いたげに口をぱくぱくと動かしたが、それは言葉になっていなかった。
「俺、Aちゃんならうらさんを託せるわ」
『えっ、何言ってるんですか坂田さん』
自然と零れたその言葉。どちらかと言えば否定の意味が含まれた返しをした彼女に笑いかけ、言った。
「うらさんをよろしくね」
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潮田 陽菜(プロフ) - はっかさん» コメントありがとうございます!!感想書いて頂けるなんて嬉しいです(><)いつもありがとうございます!!次回作も頑張るのでよろしくお願いします!! (2019年10月29日 15時) (レス) id: 71e4183107 (このIDを非表示/違反報告)
はっか(プロフ) - 遅くなりましたが完結おめでとうございます!!細かい感想は後ほど送り付けますがとりあえずこれだけ言わせて頂きます。好き。これからも無理しない程度に頑張ってください! (2019年10月25日 23時) (レス) id: 3cb0d82f4b (このIDを非表示/違反報告)
潮田 陽菜(プロフ) - Nacoさん» コメントありがとうございます!更新頑張りますのでこれからも何卒よろしくお願いします (2019年3月1日 22時) (レス) id: b5c447886f (このIDを非表示/違反報告)
Naco - さっそく読みに来ちゃいました!!とても、私好みのお話で面白いしとてもドキドキしちゃいました(*´-`*)これからも更新頑張って下さいね!! (2019年2月24日 21時) (レス) id: 6c2e9c4715 (このIDを非表示/違反報告)
潮田 陽菜(プロフ) - 陽音。こたぬきさん» そう言っていただけて嬉しいです!文才あるだなんて言っていただけて光栄ですありがとうございます(,,・ω・,,)更新頑張りますので何卒よろしくお願いします! (2019年1月26日 23時) (レス) id: b5c447886f (このIDを非表示/違反報告)
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