彼女はみんなの妹分

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「Aちゃん、今日はちふゆくんがきてくれるの？」
「たぶん…？やくそくしたから」
「えー、いいなあ。ちふゆくんにいいとこ見せないとだね！」
「まあね！」



なにが「まあね」なんだろう。
ヨッちゃんは賢い子なので口には出しませんでしたが、心の中で首を傾げました。



「ママは？」
「ママはいそがしいからこない」
「そっかぁ。私のとこも今日こないんだあ」
「……ヨッちゃんにちふゆ兄かしてやってもいいよ」



なんで上からなんだろう……。
でもそれが、Aちゃんなりの優しさだとヨッちゃんは知っているので、これも口に出しませんでした。




「でもねぇ、けーくんにも来てほしいの」
「へ〜？だあれ？」
「ちふゆ兄の友だち！めちゃくちゃにかっこいーんだよ。男の子をボコボコにするの」




こんなふうに。
そう付け足してAちゃんは、目の前を歩いている同じクラスの男の子にパンチをお見舞した。……いつものことです。



「いったァ！？やめろよ！」
「Aちゃん知ってるんだよ。この前、きゅう食のナスがたべられなくて、班の子に食べてもらってたの。いいの？先生につげ口しちゃうよ？いいの？」
「〜〜〜っ！おまえはそういうヤツだよ！だからおまえとかかわりたくないんだ！」
「そんなにホメられてもてれる」
「ほめてねーんだよ！ヨッちゃん！コイツのたづな、ちゃんとにぎっとけよ！」
「え、え？ごめん…？ね？」
「……ははぁーん。なるほどぉー。分かっちゃった」



Aちゃんはニヤアと面白そうに笑うと、何故か上手な指パッチンをして、そのまま人差し指を男の子に向ける。




「ヨッちゃんのこと好きなんだぁ？ほー。へー。なるほどねぇ？だからいつもAちゃんをおねがいするフリして話しかけてるんだぁ？」
「ぶちころされてぇのかおまえは！名すいりみたいな顔してニヤニヤすんな！気もちわりぃんだよ！……ヨッちゃん、真けんに聞くぞ。なんでこんなヤツといるんだ？ぜーーーーったい今のうちにエン切ったほうがいいぞ」
「うーーーん、でもAちゃんもいいところいっぱいあるよ？」
「度がすぎるだろ！？なんとか兄にヨッちゃんから言ってくれよ。クラスの子をいじめるのはやめてくださいってさ」




ちふゆくんに言っても直らないからこうなんだと思う。
ヨッちゃんは賢いので心の中で突っ込むだけで終わりにしました。
聞いてんのか！？と怒る男の子にAちゃんは「ムシされてる。ぷぷ」と笑ってました。



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