嗚呼、神様。 (ページ10)

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7.期待ページ10

【A】
『ねえ、聞いてる？』

真っ黒なお兄さんの外套が体に巻きついて、俺を持ち上げている。

なんだこの新しい外套。

お兄さんはさっきから一言も喋らない。

・・・このお兄さんなら何か知ってると思ったのに。

だってお兄さんは《救済》をしていた。

俺が昔したように。

・・・でも、神様は怒っている。

どうして？

どうして？

だって、

『だって母さんと父さんは・・・、』

「降りろ」

突然の鋭い声にハッとして顔を上げる。

それと同時にいきなり腰をつかんでいた外套の切れ端が離された。

『いっ、痛い・・・！』

抗議の声をあげるも、お兄さんは早く立てと言わんばかりに俺を見下ろしていた。

『・・・』

渋々立ち上がって目の前の豪華な扉を見る。

なんだかラスボスっぽい雰囲気が漂っている。

「首領、僕です。入ります。」

返事は無かったが、やつがれ？というらしいお兄さんは入っていく。

俺も慌てて後を追う。

やつがれさん、首領って言ったよな？

ここ、会社じゃないのか・・・？

それとも、社長のことを首領って呼んでるだけ？

色々疑問だが、なぜ俺をここに連れて来たのかが一番の疑問だから、黙っておくことにした。

(やつがれさん、一人であれだけの数を《救済》してた。)

すごい人なんだ、と勝手に感動する。

でも、と気付く。

(俺は《救済》をしたからこの《変な呪い》を受けた)

やつがれさんは、俺より遥かに数が多い。

(もしかして、やつがれさんも呪いに困っていたりして・・・！)

そして、もしかしたらこの会社は神様のお許しをいただける方法を知っているかもしれない。

期待に胸を膨らませ、扉の向こうを見る。

と__________。