弓引きて、出逢ふ仲間 (ページ18)

今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:106,014 hit

17話ページ18

それから初心者がいない弓道部は練習を始めた

(今日は調子がいいなぁ～)

弓を射る時の作法─射法八節をしてゆっくりと弓を引く
矢は的の真ん中に中った…皆中だ

私の隣では湊が弓を引いている最中だ
静弥は湊のタイムを取っている
矢が弓を離れるまでの時間を計るためだ

海斗はタイムを読み上げる静弥の声に集中力を切らしてしまった様でまたいがみ合っている

海「邪魔なんだよ
弓が引けないんなら外でゴム引きでもしてろよな」

湊「小野木の邪魔をしたつもりは無いけど」

海「さっきから気が散るんだよ」

静「声に出してたのは僕だけどね」

海「竹早は黙ってろ」

うるさい、本当にうるさい
弓引いている時に喚かれるのが一番いや

「テメェらさっきからギャーギャーうるせぇんだよ
まだ此処で騒ぐんなら外でやってろクソ野郎共」

海・静・湊「ご、ごめんなさい…」

「あ、あと湊と静弥その練習やるのはいいけど他の人もいるからもう少し声を抑え気味でお願いします。…それなら海斗も文句はないでしょ？」

海「…おう」

遼「す、すげー」

七「実はAちゃん最強？」

練習後のお片付け中に遼平と七緒が何かを企んでいた

「なぁんか楽しくなりそうだなぁ」

静「碌でもない事考えてそうだけどね」

「うーん、でもそれは海斗と湊が仲良くなって欲しいからでしょ？」

静「…そうだね」

海「おい！」

「ん？どうかしたの？」

海「お前が弓道を真剣にやってるって認めてやるよ」

「随分と上からだね～」

海「うるせぇ、文句あんのか」

不貞腐れた海斗は私と目線を合わせない
でもいきなり「認める」なんて何でだろう？今日は特に何もしていな…いや、したね
さっきのあれが効いたのかぁ～

「何にもないよ、よろしく海斗」

海「…よろしくなA」

漸く認めて貰えた
あの仏頂面の海斗が名前を呼んでくれた
それだけでも一歩進歩かな